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小説で創薬企業投資のお勉強をしよう

いつもお世話になっております!

ワタクシはバイオベンチャーへの投資が好きで、あとミステリーもそこそこ好きです。

この2017年に「このミス大賞」を取った岩木一麻さんの「がん消滅の罠」。

面白かったなぁ。

おススメです!

↓本は汚く読むのがyukiyukiさん流です。

目次

岩木一麻さんの「がん消滅の罠 完全寛解の謎」を読んでみた。

岩木さんは国立がん研究センターに勤務していた、バリバリの専門家。

小説ではがんセンターも出てくるし、お薬の審査・承認をする機関のPMDAも出てきます。

バイオベンチャー投資家は聞き覚えのある言葉がたくさん出てくるので頭に入ってきやすいと思います。

かなりガッツリしたミステリーなんであらすじは書かないよ。

逆に言えば本格ミステリーが苦手な人は途中苦しくなるかも(実はワタクシも頭があんまり良くないので本格は苦手……)。

でもでも最後の一行までどんでん返しが出てくるので、途中混乱しながらも最後までスルスル読めちゃいます。

 

自分で読んでビックリしましょう。

ここではバイオ投資の観点から参考になったところをいくつか紹介します。

重度免疫不全マウスが移植実験を行う上で重要なのは、移植実験が行いやすいからだ。~中略~ 免疫機構が生まれつき貧弱な重度免疫不全マウスでは、種が異なるヒトの細胞であっても移植が可能だ。

出典:がん消滅の罠 P27

新しい抗がん剤を作るときにまずは動物実験をします。

マウスにヒトのがん細胞を移植して、そのマウスにお薬を投与。

有効性と安全性のデータを集めて、人間の臨床試験に進むかどうかを決めるわけですね。

ただし、免疫機構を持つマウスにヒトの腫瘍を移植しても、簡単に異物として排除されちゃいます。

そこで重度の免疫不全のマウスの出番。

これなら種が異なるヒトの細胞を移植しても免疫機構が働かないので、生着するということです。

勉強になるなー。

こんなマウスを作っている会社としてはトランスジェニックさんがあるよ。

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古典的な抗がん剤の多くが活発に分裂する細胞に多く取り込まれることで細胞を殺す、毒性の強いものだった。~中略~ さらに悪いことに、がんの元凶ではあるが、自らはあまり分裂しないがん幹細胞に対しては効果が薄かった。~中略~ 分子標的薬と呼ばれる薬が次々と登場してきた。

出典:がん消滅の罠 P31~32

正常細胞もがん細胞も全部一斉に大攻撃する従来の抗がん剤から、がん細胞に特異的に作用する分子標的薬が出てきたという話。

それが出来れば、副作用も小さくできるし、効果も高くなるよね。

勉強になるなー。

RNAを使った分子標的薬開発を行う会社としてはリボミックさんがあるよ。

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初めに遺伝子が働かないようにしただけでは、本当にその遺伝子が働かなくなった結果としてがんが増えたのかどうかは厳密には分からない。遺伝子の機能を回復させた際に、がんの発生率が元通りになることが確認できれば、その遺伝子ががんの抑制に寄与している可能性がずっと高まる。

出典:がん消滅の罠 P39

遺伝子を使った抗がん剤開発のお話。

ある遺伝子ががんの発生を抑制しているんじゃない?と思われた場合、まずはその遺伝子をノックアウトしてみます。

それでがんが増えれば第一段階クリア。

さらにその遺伝子をもう一度働くようにしたときに、がんの発生が抑制されれば、やっぱりこの遺伝子ってがんを抑制してるな!ってなると。

こんな感じ。

例えば、3Dマトリックスが国立がんセンターや広島大学とやっている核酸医薬品開発もこんなイメージで進んでいるんだね。

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「俺だって、自分のことだからいろいろ調べたんだ。ここでやっているような免疫療法は大体怪しいんだってよ。まあ、効けば文句はないが」

話を聞いていると、主治医に黙ってセカンドオピニオンを受けたという。柳沢は心の中で嘲笑した。それはセカンドオピニオンではなくてドクターショッピングと呼ばれる全く別の行為だ。

出典:がん消滅の罠 P154

すいません……。

僕も嘲笑される対象です。

セカンドオピニオンとドクターショッピングの区別がついていなかった。

セカンドオピニオンはあくまでも主治医の了解を前提として、その診療記録を提供してもらい、別のお医者さんの意見を聞いてみることなんだね。

勝手に別の医者の診断を受けることはドクターショッピングっていうそうな。

勉強になるなあ。

ちなみにここで出ている免疫療法といえばブライトパスバイオですね。

「怪しげな」免疫療法が蔓延していますが、国内初のがんワクチンとして国の承認を受けられるか大注目です。

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テラもがん免疫療法「バクセル」の保険適用に向けて臨床試験を進めています。

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新薬の比較対象として今回の治験に用いられた抗がん剤は低分子化合物であったので、質量分析計で検出できた。一方、高分子の抗がん剤である抗体医薬品は、ヒトの免疫機構で重要な働きを担う抗体を人工的にデザインしている。

出典:がん消滅の罠 P222

お薬は低分子医薬品と高分子医薬品に大別されます。

低分子医薬品は比較的構造が単純。

特許が切れた後は、簡単にジェネリック医薬品として流通していきます。

反対に高分子医薬品は分子構造が複雑なんで、既存薬と有効成分が同一だよという証明が難しくなります。

「バイオシミラー」はジェネリックと同じく特許切れの薬ですが、有効成分が同一という証明が難しいので、一から治験をしないといけません。

バイオシミラーの抗がん剤開発に取り組んでいる会社としては、ジーンテクノサイエンスがあります。

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近年、急速にゲノム解析の速度が上がり、コストも下がってきている。そう遠くない将来、患者のゲノムを解読した上で、治療方針が決定される時代がやってくるに違いない。

出典:がん消滅の罠 P366

ふむふむ。

そうなんだ。

まさにオーダーメイド医療だね。

ゲノム解析か。

PSSとかが関連銘柄になるのかな?

あんまりチェックしてなかったけど、今度調べてみよう。

 

まだまだPMDAの承認はあくまでも「仮免許」だとか、がんは最近までとんでもなくなりにくい「めずらしい」病気だった(この意味するところは本書に書いてあるよ)とか、「へー」ってことがたくさん書いてあります。

もちろん、小説としても完成度がめちゃくちゃ高いものになっているぞ。

多分、映画とかドラマ化されるでしょうねー。

 

まとめ

・さすがこのミス大賞受賞作!

読み応えのある良質なミステリーでした!

絶対にこんなミステリー書ける気がしない……。

著者の岩木さんは、現在はがん研を退職され、医療系の出版社に勤務されているとのことです。

この小説は、以前にこのミスに投稿された作品を大幅に改稿し、再度投稿されたもの。

本当に小説家になりたかったんだろうなぁ。

最後の解説によると、現在は遺伝子組み換えウイルスによるテロをモチーフにした第2作を執筆中とのこと。

こちらも楽しみにしております!!

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