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テラ(2191)上場廃止の瀬戸際に!【矢﨑、LINE消したってよ】

いつもお世話になっております!

「樹状細胞ワクチン」で知られるテラが大変なことになっています。

矢﨑社長と主要取引先医創会、さらにファンドを介した不透明な資金の流れなどが第三者委員会の報告書で明らかになりました。

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目次

今回明らかになったテラの問題点のまとめ

・社長が主要取引先を事実上コントロール

テラは、がん免疫療法の「樹状細胞ワクチン療法」に対する技術・運用ノウハウを病院に提供し、売上を上げています。

その主要取引先である医創会について、設立当初から現在に至るまで、テラの矢﨑社長が事実上支配していたと指摘されました。

 

矢﨑社長は否定しているとのことですが、

  • 医創会の理事長名義の印鑑や通帳を管理していた
  • 矢崎社長を「オーナー」と呼ぶ人や、矢﨑社長が理事長だと思っている人がいた
  • 医創会が行う契約について、矢﨑社長の指示のもと印鑑が押されたり、矢﨑社長自らが押印していた
  • 矢﨑社長や妻、知人が役員を務める複数の医療コンサル会社が、医創会から実体のない業務委託料を受けていた(矢崎社長はマーケティング業務の対価としているが、具体的な内容の根拠は提示されず)
  • 医創会と矢﨑社長の個人名義の口座間での頻繁な資金移動があった

 

 

 

 

 

 

ま、まっくろじゃねーか……。

 

 

報告書が指摘してるいるように、これらのことから医創会は矢﨑社長の管理下にあったと考えるのが自然と思われます。

 

・社長の株売却資金でテラの医創会への滞留債権を回収

医創会の業績は相当悪かったようで、テラの樹状細胞培養などに伴う対価も払えない状況にありました。

積もり積もった滞留債権は1.8億円。

しかし、テラの営業キャッシュフローも2014年から3年続けて赤字という状況です。

 

テラが上場しているジャスダックでは、4年連続営業CFが赤字の場合上場廃止基準として定められているため、2017年は最終年度(猶予は1年間あるけど、2018年はもっと真っ赤だろうから「遅かれ早かれ」って話です)。

 

 

上場廃止を回避するためには医創会から滞留資金を回収し、営業CFをプラスにさせる必要がありました。

そこで矢﨑社長は、自身が持つテラ株を売却し、同じく自身で設立したばかりの会社経由で、株式の売却資金を医創会に融資。

そして融資を受けた医創会から、「売掛金の支払い」という名目で、テラにお金を払ってもらうというスキームを考えます。

 

ぼくはいま小説を読んでるんですか。

 

ただし実際に、矢﨑社長の株は時価の65%引きというトンデモない安値でU社に売却をされましたが、社内の役員に反対をされ、売却資金が医創会に渡ることはありませんでした。

*上場回避したい矢﨑社長も、さすがにU社側からの65%引きという足元を見られた売却価額に最後まで難色を示し、自ら別の売却先を探していたことも生々しく書かれています。

 

結局、テラはF社というファンドに医創会に1.5億円を年利5.0%、無担保で融資をしてもらい、これを医創会から回収することで2017年12月期の営業CFをプラスにし、上場廃止を回避しました。

 

そして一回目のF社への借金の弁済期日がやってきます。

しかし当然、医創会は真っ赤ちんちんなので、F社にお金は返せません。

 

焦る矢﨑社長はKファンドを紹介してもらい、医創会のF社からの借金をKファンドに組み換えてもらいます。

F社の弁済期日が来るたびに自らが連帯保証人となってKファンドからお金を借り、最終的にはF社からの借金をすべてKファンドがリファイナンス。

元本1.75億円。金利はF社の3倍の15%!

さらに矢﨑社長はリファイナンスをしてもらう条件として、テラの次の増資の際は、Kファンドが引受先を指定することにまで同意しちゃいます。

 

そしてKファンドへの借金返済のために、矢﨑社長はまたまた自社株を時価の半分以下の値段でKファンドに売却。

売却額は矢﨑社長が株の低廉譲渡によって発生するいわゆる「みなし譲渡所得課税」の納税資金6,000万円のみが支払われ、残りの2億3,000万円はKファンドが債権の担保として留保しているとのこと。

なので、実際は矢﨑社長から、Kファンドを介しての医創会への資金提供だったことが分かります。

 

なお、Kファンドは矢﨑社長から買った株50万株は、同数を空売りして決済済み。

ピッタリ50万株……。

 

もうなんやねんこの世界。

背筋が凍るわ。

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テラの今後

とりあえず2Qの決算報告書の提出延長承認が降りたので、それに向けて動いていく必要があります。

これ、ぼくもど素人なのでよく分からないんですが、以下のようなリスクがある感じ。

・医創会がテラの連結子会社として認定されるか否か

仮に医創会がテラの連結子会社とされた場合、テラの2017年12月期の営業CFは赤字になりますので上場廃止基準に引っかかってきます。

素直に考えれば矢﨑社長は形上は役員にもなっていないですし、子会社「認定」することは難しいんではないでしょうか。

 

あるとすれば子会社認定するかどうかの要件である実質支配力基準の内の、

「その他の財務および事業の方針の決定を支配していることが推測される事実が存在する」

に該当するか否か。

[aside]実質支配力基準
1、自己(子会社・子法人を含む)の計算において所有している議決権の数の割合が50%を超える場合
2、自己(子会社・子法人を含む)の計算において所有している議決権の数の割合が40%以上50%以下であり、次のイ~ホのいずれかに該当する場合
イ、自己所有等議決権数の割合が50%超
ロ、取締役会等、意思決定機関の過半数を自己の役員・業務執行社員・使用人で構成する場合(過去に役員・業務執行社員・使用人であった者も含める)
ハ、重要な財務および事業の方針の決定する契約等が存在する
ニ、資金調達額の総額のうち、50%超の額の融資を行っている
ホ その他の財務および事業の方針の決定を支配していることが推測される事実が存在する
3、自己所有等議決権数の割合が50%を超えている場合[/aside]

今回は矢﨑社長個人が医創会をコントロールしていた事実は該当しそうですが、これをもってしてテラという会社と医創会との関係までもが親・子会社の関係になるのかは疑問です。

専門家の見解を訊きたいところ。

証拠がない以上、難しいと推測します。

 

いずれにしても、矢﨑社長は医創会の「関連当事者」には該当しそう。

その場合、矢﨑社長と医創会との間での取引が認められた場合は、財務諸表に注記をしないといけません。

つまり過去にさかのぼって有価証券報告書の訂正が必要になります。

 

特に問題になっている点が、矢﨑社長の医創会への個人名義での振り込み。

これがテラに滞留債権を弁済させる目的のものだったなら、営業取引ではなく財務取引になってしまうので、財務諸表を訂正しないといけないということですね。

会社は「現在のところ医創会の運転資金の支援で、テラへの売掛金の充当ではない考えている」としていますが、お金に色は付いてないだけに監査法人がどう判断するのか興味があります。

 

個人的に気になるのは、テラによると「財務取引」に当たるかどうか問題になっているのは、「平成28年4月より個人の意思で実施した本件法人への振込」とあるので、おそらく下記のことだろうと思います。

とすると、これが財務取引と判断されたところで、少なくとも一番大事な2017年の営業CFには影響を与えないことになります(上記全てが「財務取引」とされて、営業CFから財務CFに振り替えられたとしても、2016年の話なので2017年の営業CFの黒字は維持できます)。

ちなみに「財務取引」になる取引かどうかというのは、「矢﨑社長個人の口座から振り込まれた取引が前提」になっています。

 

2017年の営業赤字を回避した、矢﨑社長の株式売却額を、Kファンド経由で医創会に融資されて、テラに滞留債権回収の対価として渡った一連の取引は、そもそも「財務取引」にはなるかどうか検討するまでもなく、「財務取引には該当しない」という書きぶりです。

この辺も推測になりますが、先ほどの「連結に該当するかどうか」の点と同じく、テラとしてはあくまでも矢﨑社長個人が医創会との関連当事者であり、テラという会社とと医創会は樹状細胞ワクチンの受発注先に過ぎないという立場ということなのではないでしょうか。

幸い?といってと良いのか分かりませんが、医創会に対する樹状細胞ワクチン療法の技術・ノウハウ提供について、少なくとも売上データ上は整合性は取れていたとのこと。

 

……まぁ取れてなかったら、子会社だとか関連当事者だとか以前に、粉飾でアウトですけどね。

 

・提出期限に間に合うか

そもそもこんなブラック会社の監査を受けてくれるところがあるのかなと思いますが、この事例から見ても世の中金だと嘆息せざるを得ないので、アッサリと聞いたことがない監査法人(かつテラの見解に寄り添ってくれるようなところ)が現れるのかもしれません。

提出期限は10月15日。

時間はないですね。

当社による調査及び訂正作業に約30日程度、太陽有限責任監査法人による調査及び四半期レビュー報告書作成に約27日、過年度の訂正報告書の監査人である公認会計士による調査及び過年度監査に約22日程度の日数を要すると見込んでおります。

出典:テラ 四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ

これからすると来週中には新しい監査法人を見つけてないと間に合わない。

太陽もブチギレてる感が伝わってくるし、過年度監査のほうも時間かかりそうです。

無理やりにでも間に合わせてくるのか。

 

間に合わなければ再び延長申請ってことになるんでしょうが、認められるかは不明。

監査法人が決まれば発表されるので、それが提出期限日から逆算して22日以内に出てくるかどうかが一つのポイントになりそうです。

 

・売上低迷は必至

2017年は「がんワクチン療法」のネガティブ情報も出回ったせいで売上も落ち込んだテラさんですが、何気に売上は10億弱もあったんですよね。

売上の3割は医創会としても、残りは他の契約医療機関からのものです。

粗利で5.6億も稼いでいます。

 

これってバイオベンチャーからすれば結構なものですよね。

ただし今回の件で仮に上場廃止を回避できたとしても信用度の低下は必至ですので、樹状細胞ワクチンの契約医療機関は減ることは間違いなし。

すい臓がんへの治験が始まりましたが、お金がないので計画変更も迫られるでしょう。

事業戦略も抜本的な見直しが必要になりそうです。

 

まとめ

・この世界怖い。

今回のテラの事案はバイオベンチャー全体へのイメージも下げそうです。

矢﨑社長の非協力的な態度や第三者委員会の面談前夜にLINEを消したり、まだまだ闇がありそう。

今後どうなるか分かりませんが、残念なニュースでした。

*なお、調査報告書にもありますが、記載内容は事実認定が変更される可能性があることにはご注意を。

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