いつもお世話になっております!
メディシノバが一つ壁を越えましたね!
これまで数多くの治験に失敗してきて中々目が出なかった企業。
そんなメディシノバさんが、この度MN-166(進行型多発性硬化症適応)のフェーズ2bに成功したよ。
最も難しいともいわれるフェイズ2に成功したよ。
この治験によって2つの主要評価項目を達成したのだ。
それなのにナスダックでは株価が下がったよ。
アメリカさん、なんなのよ。
でもさ、アメリカ人には評価されなかったかもしれないけど、ワタクシは大いに喜ぶよ。
本当におめでとうメディシノバ!
やったじゃねえかこの野郎。
現段階では治験成功といって良いでしょう。
多発性硬化症とは
今回のメディシノバが成功したのは進行型多発性硬化症のお薬です。
多発性硬化症は脳や脊髄などにたくさんある中枢神経に炎症が起こることで、色々な症状が起きる病気です。
目に障害が起きたり、手足の感覚が麻痺してきたり、ろれつが回らなくなってきたり、排尿の回数が増えてしまったり……。
神経が修復されることで自然に回復することもありますが、多くは再発と回復を繰り返しながら病気は進行していきます。
なお、原因はよく分かっていません。
メディシノバによると、患者の約85%は、回復したり、再発したりを繰り返す「再発寛解型」と診断されますが、その後、大部分の患者は徐々に症状が悪化していく「二次進行型多発性硬化症」へと移行します。
また、再発・寛解期を経ずに最初から断続的に障害が進行していく「一次進行型多発性硬化症」は約10%とのことです。
なんだかややこしいので別のところのデータを探してみました。
2009年と古いですが薬事日報のデータを見ると、再発寛解型が55%、二次進行型が35%、一時進行型が10%となっています。
多発性硬化症は大きな市場のため、全世界で治療薬開発の競争が起こっています。主要性5製品の売上で1兆円に届こうかという勢い。
一方で、その主要4製品(ABCR 下記の図参照)はどれも「再発寛解型」に対してのお薬です。
5番目の抗体医薬品、タイサブリは有効性に優れている反面、安全性への問題が指摘されています。
*メディシノバさんのMN-166の現状のまとめ。
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MN-166の可能性
そうした中、メディシノバさんが開発してきたのがMN-166。
実はケタスという商品名で、気管支喘息や脳梗塞の後遺症によるめまいなどを対象として長く販売され、患者に処方されてきたお薬です。
神経の炎症を抑えたり、保護したりする機能が確認されています。
メディシノバさんはMN-166の作用機序からいって「多発性硬化症(進行型を含む)にも効果があるのでは?」と考え、杏林製薬から権利を買って、多発性硬化症を対象としたお薬としても認めてもらえるように開発を進めていたのです。
そして今回、臨床試験を実施。
主要評価項目(治験で最も明らかにしたい評価項目)は2つ設定していました。
[aside type=”boader”]①MN-166を投与した患者は、そうでない患者と比べて全脳萎縮の進行度が抑えられているか? [/aside]
[aside type=”boader”]②MN-166を投与しても大きな副作用は出ないか? [/aside]
この2つ。
2番目についてはケタスとして長年処方されてきましたので、大丈夫だと思っていました。
あとは1番目ですね。
本当に進行型の多発性硬化症にも有効性があるのか。
中間解析も突破していましたが、正直なところメディシノバさんの過去からいっても失敗の可能性も十分あるんじゃないかと疑っていたyukiyukiさん。
それが昨日発表された「治験成功!」の知らせ。
おめでとうメディシノバ。
そしてホルダー。
アメリカではなぜか株価は下がる……。
グッドニュースを発表したメディシノバ。
アメリカのナスダックにも上場されています。
治験成功が発表され、日本市場より一足先に開いたアメリカ市場。
ストップ高がないアメリカ市場。
どれだけ噴火するかと思いきや……。
まさかの下落。
なんでだよ……。
訳わかんねーなアメリカ人。
いや別に20%も30%も上げろって言ってんじゃないんですよ。
だけど下げる必要はないんじゃないですかね、下がる必要は。
理由としていくつか挙げられているのが……
・どの程度の有意性があったのかなどを公表していないため、大した有効性はなかったんじゃないか?
・主要評価項目は達成したけど副次的評価項目(サブ解析)については言及されていないため、サブ解析では失敗したんじゃないか?
・成功については事前に漏れがあったので、材料出尽くして下げたんじゃないか?
とか。
うーん、でもさ下げる必要はないんんじゃないか?
治験成功ニュースだぞ。
特許成立とかじゃねーんだぞ。
今回の臨床試験における副次的評価項目は、
【身体障害、脳や網膜組織の画像分析、皮膚の萎縮、認識障害、QOL及び神経性疼痛】。
ネットで色々論文などを見てみると、基本的には「脳の萎縮と上記のいくつかの項目に相関はありそうな感じだけど、ハッキリとは解明されていない」というのが現状に思えます(あくまでも個人の見解です)。
でも少なくとも、脳萎縮の抑制が治療目標の柱として定められているのは間違いない。
なので仮に副次的評価項目が達成できていなかったとしても、悲観する必要はないと思ってるんですが。
なお日本でも、このナスダックでの株価に不安感が広がったのか、始値は前日終値からちょい上げ程度でのスタート。
それでもその後、急激に買いが増えて、最後はストップ高で引けました。
おもしれー。
おんなじ材料なのに、現時点では日米まったく評価が分かれています。
個人的にはアメリカは意味不明だと思ってるんですが、今夜のナスダック市場はどうなりますか。
なお、今回の臨床試験の結果については明日パリで開かれる学会で発表されることになっています。
文句のつけようのない良好な結果が出て、アメリカ人さんが慌てて買い戻す光景が見られないかなぁ……。
まとめ
・日本でのストップ高がやりすぎかどうかはおいておいても、アメリカの下げはやりすぎ!
……だと思うんですけど。
プラセボと比較して統計学的に有意ってんだからp値は<0.05確定。
【追記】↑やっぱりp値がギリギリだったのが懸念された模様。
本当になんで下げたんだろ。
学会での発表&来週からの値動きがとても楽しみです。
アメリカ人が正解か、日本人が正解か。
案外、その真ん中くらいで落ち着いたりして……。
創薬ベンチャーを調べていて辿り着きました。
非常にわかりやすい解説をしていらっしゃるので、とても参考になります。
ありがとうございます。
メディシノバ、3dマトリックス
どうなるんでしょうね。創薬ベンチャーは時間がかかるので、一喜一憂しないことを心に決めようと、そんなことをこうして他人に伝えなければならないほど一喜一憂している私ではあります。
3年後、5年後。。。。。
これからもがんばってください。ありがとうございます