いつもお世話になっております!
最近、株価ががっつんがっつん上がっていたブライトパスバイオ。
来年結果が出る前立腺がんのがんワクチン「ITK-1」の治験を前に、期待感が膨らんでいるんだと思っていたところ……まさかのMSワラントを発表しました!
なんでこのタイミングで増資を決めたんだ!?
良い増資、悪い増資、色々意見はあるようですが、その真意は?
ブライトパスバイオがMSワラントを発表!
予想外の増資発表でした。
最近、株価は上がってきていましたが、増資の可能性はひとっ欠片も頭になかったぞ……。
ひとまず今回の増資の概要を整理しておきます。
以下の感じです。
株式の割当先 | クレディ・スイス証券 |
新規の発行株式数(条件付き) | 5,600,000株(希薄化率15%) |
資金調達額 | 約40億 |
行使価額 | 前日終値の92% |
下限行使価額 | 432円 |
その他条件 | 一部はITK-1が成功したら発行 |
結構大きな増資ですねー。
希薄化率は15%。
ポイントは15パーの内、3パーはITK-1の主要評価項目が達成したら、つまり「治験が成功すればやるよ、失敗すればやらないよ」というもの。
めずらしい方法を取ってきました。
この文言をどのように受け取るかによって、今回の増資への評価が変わりますね。
会社はわざわざ補足資料としてこんなグラフまで出してきた……。
出典:ブライトパスバイオ 補足資料「新株予約権の発行に関するご説明」
めっちゃ株価上がってんじゃん。笑
全く思わせぶりっこなブライトパスさんだぜ。
この通りに行けばよいけどなぁ……。
良い増資なのか悪い増資なのか?
基本的に増資によって新たに株券が発行されれば既存の株券の価値は下がりますので、それに伴い株価も下がります。
当たり前だけど。
今回の場合は15%の希薄化(株券の価値の減少)が生じます。
ただ増資によっては希薄化する15%以上に会社の価値が高まる増資だと判断されたなら、株価が上がるケースもあり。
今回の場合はどうなのか。
良い増資だとする意見は下記の2つの理由からでしょう。
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意見その1 「ITK-1成功の条件付きだからそれだけ自信があるのだ!」
今回の増資の大きなポイントの一つ。
3%はITK-1が成功したら発行するよ、というもの。
この条件は「成功前提だからこそのスキームだ!」という意見もありますが、「成功前提なら成功してからやれば良いじゃん」ってツッコミは関西人じゃなくてもすぐに出てくるわけで。
ブライトパスは前日終値の92%の金額で新株を発行し、それをクレディスイスに買ってもらうわけだから、株価が高ければ高いほどもらえるお金は大きくなります。
成功に自信があるんなら、成功して株価がドッカーンと上がったときに増資をすれば「新株発行による希薄化」も抑えられるし、「調達できるお金」も大きくなる。
良いことづくめ。
なので成功前提というのは違う気がします。
意見その2 次のパイプラインの進展が加速!
いやいやITK-1の結果を待ってられないくらいのスピードで、次のパイプライン開発が進んでいるんだという意見もあります。
確かに非小細胞肺がんを対象としたがんワクチンGRN-1201のアメリカでの治験や、次のパイプラインである1301、またiPS細胞を使ったがん療法iPS-Tの進展などは大いに期待されるところ。
ただ9月30日時点(上期経過時点)で、現金はまだ43億持ってるからなぁ。
今期の通期でのキャッシュアウトが20億予想。
さすがにITK-1の結果までは十分に持つと思う。
それにそんな巨額な資金が必要になるプロジェクトが進展してるなら、素直にそれを明記して、「今回の増資資金を充当しますよー」って発表すれば良いだけです。
そのほうが株価も上がるだろうし。
なので目前に好材料が迫っているってことはない気がするんですが。
もちろん、MSワラントなので一気に新株が発行されるわけではありません。
行使期間中に好材料が出て株価を上げてくるという可能性はあります。
ただ直近でビッグサプライズ的な材料が出てくる、なんてことはあんまり期待しない方が良いんじゃないかなぁ……。
んじゃあ「悪い増資なのか?」
では、ITK-1が失敗するのが分かっているから、今のうちに増資をしておこうという考えなのかというと……。
さすがにそれもあり得ないと思います。
失敗することが分かっていて、あえて株価を吊り上げるために「一部条件付き」という設定をして、かつ最初に出したような「株価上げていくぞ!」グラフを出すなんてことは考えられない。
もしそうだとしたら悪質を通り越してるんで。
あんなグラフを出すくらいだから、会社としては「ITK-1」の成功には大いに期待をしているし、成功も信じているんでしょう。
ただ治験に絶対はない。
そう。
メドレックスの松村会長が、エトリートのフェイズ3の腰での治験結果(結果は有意差は微妙に出なかった)が出る前に、「最初の1本目の肩で成功しているからイケるんじゃないか」と前置きをした上で言っていたように、「それでも治験の結果は開けてみるまで分からない」。
そのように考えると、今回の増資のタイミングも非常に理にかなったもののように見えてきます。
リスクヘッジ増資
だと思います。
永井社長、うまくバランスをとってきた印象です。
つまり会社としてはITK-1が成功したタイミング(株価が上がったタイミング)で増資ができれば一番最高なわけです。
それはもう誰が見ても明らか。
会社としても成功するのが分かっていれば当然そうするでしょう。
逆に一番最悪なのがITK-1が失敗したタイミングでの増資。
これはもう最悪。
【治験失敗⇒一時金が入らずやむにやまれず増資】
株価暴落は間違いなし。
このパターンは地獄。
希薄化率も15%どころじゃすまない可能性がありますし、それこそ次世代のパイプライン開発に支障が出ます。
会社の経営戦略にも大きく狂いが生じてしまう。
結論。
「会社もITK-1成功を期待しているし、成功を信じているんだけど、万が一失敗したときのことも考えてこのタイミングで資金を確保しておく」という方法を取ったんだろうと想像します。
今の段階では「成功も失敗もどっちもあり得るんだよ! 会社も確信できてないんだよ!」なんじゃないのかなあ。
会社が「3%はITK-1が成功したら発行」という条件を付けてきたため、自分の中でも「ITK-1は成功するんだ!」とか「失敗するんだ!」と極端な意見がせめぎ合ったんですが、冷静に考えればフツーの結論に落ち着きました。
経営層の立場に立てば悪くない判断だと思います。
ブライトパスの場合は上市品も持っていないですし、直近の株価の分岐点はITK-1の結果。
ここで下にも吹っ飛ぶし、上にも吹っ飛ぶ。
経営は博打じゃないんで、失敗の可能性がある以上、結果が出る前に一定程度の資金手当てをしておく。
その上で一部は条件を付けることで、成功したときの大きな資金ゲットの道も残しておく。
既存株主にとっては株価が上がってきたところでの増資は痛いですが、経営判断としてはうまいなぁという印象でした。
株価も上がってきた(上げてきた?)しね。
あ、でも永井社長他は今回の増資を機にもっと個人で自社株買うべきだと思うよ。
ブラパスに限らずだけど。
まとめ
・リスク回避のためにITK-1の結果が出る前に増資をしてみた!
こんなところじゃないんですかね。
今後の株価はITK-1の進展が最大要因!っていう考えに変わりありません。
明日は下がるにしても、その後はどうなるか。
ITK-1への期待がポシャらない限り、というか期待はXデーに向かって大きくなっていくと思うので、12%分は早めに行使してもらって上値を軽くした状態で成功の知らせが聞ければ最高ですね(会社にとっても株主にとっても)。
経産省レポートからちょびっとバイオが盛り上がる気配も見えてきてるんで、ぜひとも悲願の「国産がんワクチン」の治験成功を祈っております!
【*追記:残念ながらITK-1は失敗しました…】
いつもありがとうございます
ブライトパス今週売った後の増資でした。あぶねー(笑)
アキュセラ、メドレックス失敗後どちらも現金あるのは前もって増資したからだもんね。会社を毀損しない為に株主から保険料を奪って保険に入る感じですよね。今はただただgniに期待‼️