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後出血予防材の臨床結果が発表されたぞ!【3Dマトリックス】

いつもお世話になっております!

現在3Dマトリックスさんが欧州申請中の後出血予防材について、先ごろUEGW(欧州消化器病週間)で臨床結果が発表されました。

後出血予防材は既に承認済みの止血材purastatの適応拡大になります。

止血材機能単体では採算ベースに載せられないことは確定なので、なんとしてでも後出血予防材の承認を勝ち取りたいところ。

早速結果を見てみましょう。

目次

3Dマトリックスの後出血予防材の臨床結果!

胃や食道といった消化管に早期がんなどができた際に、表層をサクッと切り取る内視鏡切除術。患部を切った後に3Dマトリックスさんのpurastatをヌリヌリと使用したところ、どのくらい後出血が予防されるのか検証されました。

出典:Haemostasis and prevention of bleeding related to ER: The role of a novel self-assembling peptide

 

今回は100人の患者さんに使用(内訳:食道48、大腸31、胃11、十二指腸10)されています。

平均腫瘍サイズ3.7cm。一般的な内視鏡手術における平均サイズは2.0cm以下とのことですので、割と大きめの症例に使用されたことが分かります。

また100人の患者さんの中には、血栓症の治療済みの患者が30人いたとのことです。

血栓症の治療というのはおそらく血液をサラサラにする薬を飲んだんだろうと思われます。この場合、一般的に後出血のリスクは高まると言われています。

 

なお、術中では止血材としてもpurastatが使用。75%に適応できたとのこと。残りの25%は出血の速度や量が多く、ゲルによる止血部の密着が妨げられ、完全な止血はできなかったようです(間違いがあればご指摘を)。

ただしpurastatは透明なので、血が止まったかどうかは簡単に判断でき、止まらなかった場合には他の止血法に切り替えることが容易できる点が強調されています。

平均使用量は1.76mlで、ヌリヌリしてから止血までの時間は69.5秒。これが患部を焼いて血を止める「焼灼止血」と比べて早いのか遅いのかは分かりません。

 

で、一番大事な後出血率ですが3%でした(3/100)。

長嶋の背番号じゃん。格好良いな。

 

さて3%という数字が高いか低いかですが、ぼくも色々見てみましたが病変や部位、抗凝固薬の使用の有無などによってかなりバラツキがあります。

今回の論文でも、後出血リスクは「1%〜15%」と幅がありまくり。フィスコレポートでは「5%~20%」という記載があったりね。岡田社長は「5%~8%」と説明会動画で言っています。

とにかくバラツキがある!

日本の論文によると5%前後が多い印象でした。会社発表だとヒストリカルコントロールと比較して半分以上の減少とのことなので、欧州では7%くらいなんですかね。

いつのデータとの比較なのか分かんないけど。

 

まぁ論文でも後出血率は低かったと書かれているので、悪くはないんでしょう。

うん。悪くはないって感じですね。画期的な結果か、というとどうなんでしょうね。

 

気になった点。

より細かく見ていくと、後出血が起こった3件のうち、2件は胃で1件は食道でした。

なので部位別にみると後出血の割合はこんな感じ。

食道:1/48⇒2%

大腸:1/31⇒0%

胃:2/11⇒18%

十二指腸:0/10⇒0%

うーむ。素人目には胃の後出血率の高さが気になるところ。ただまぁサンプル数も少ないし、比較試験でもないのでなんとも言えないですね。

 

それと引っかかったのはpurastatの平均使用量。腫瘍サイズが大きかったにも関わらず、平均使用量は1.76mlですか。想像以上に少ないですね。

※完全に被膜するには2.6mlの使用量だったとのことですが、今回は腫瘍サイズが大きかったので保守的に1.76mlのほうで試算します。

 

フィスコレポートでは内視鏡術における使用料は3~5mlとされていました。

値段は約1万円/mlが目安(出典:シェアードリサーチ)なので、1件当たり1.76万円。

3Dマトリックスは市場規模として130万件で355億と推計していますが、今回の使用量を基に算定すると230億くらいになります。

 

医療機関としては導入しやすいかもしれませんが、会社の売上的にはどうなのか。

サンバイオのSB623のような画期的な製品とはいえないので、少ない利用量ですむ⇒一件当たりのコストが安いということが、ポジティブなのかネガティブなのか判断が難しいところです。

後出血を5%⇒3%に減らせることと、1件当たり2万円(あくまでも販売金額なので、保険適用になれば病院負担はさらに小さい)という値段が医療機関からどう評価されるかですね。

……そもそも承認されなきゃ話になんないんだけど。。

 

まとめ

・内視鏡切除術にpurastatを使用しすると後出血率は3%だった(症例数100)。

ちょっと評価が難しい結果になりました。条件や執刀医によって後出血率は大きく変わってくるんで、やっぱりランダムな比較試験じゃないとよく分かんないですね。

でも最初の後出血予防材の申請の際にデータとして提出された慶應の浦岡先生の論文でも2%だったので、少なくとも2%とか3%まで後出血を抑えられることは確かなのでしょう。

とりあえず承認されないと話にならないので、今年中に無事に通ってほしいと思います。

 

ただどうしても治験をヒストリカルコントロールとの比較で出したのかが気になる……。

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最初、シングルアームの試験だとバラツキが大きいから比較試験を求められたんでしょ?

なもんでなんでヒストリカルコントロールとの比較で再申請したのかよく分かんなかったんだけど、今回の論文を見るとそもそも比較試験じゃないですよね。

これとは別にランダムの比較試験をやってるってこと?

よく分からん。

[追記]比較試験はこれとは別のようですね。ちゃんとありました。

参考:後出血予防材の比較試験

やはり比較試験だとバラツキが大きく有意差が出ない恐れからヒストリカルコントロールで再申請したということはないのか。それで本当にシングルアームではなく比較試験を、といっていた第三者認証機関は納得するのか……。うーむなんか腑に落ちん。

 

会社は「さらなる追加データなどは求められていない」としていますが、日本の止血材のときも髙村前社長は「承認は近いという感触がある」なんて言いながらダメだったもんなあ。

ぼくはもはや簡単には信じないぞ。

とにかく結果で見せてほしいものです。

株価も下がっていますし、このままだと増資で集めたお金も一瞬で消えちゃいますよ……。

メドレックスとは比較にならない怖すぎる状況。地合いも悪いしね。

あんなに愛してたのに追加で買おうなんて気持ちはこれっぽっちも起こらんな。

彼女にフラれてゲッソリしている友達に良いアドバイスができそうだ。ありがとう3Dマトリックス!

今年の冬はたくさんの漬け物でごはんが進みそうでうれしいぜ!!

【追記】3Dマトリックスの後出血予防材が承認されました!!!

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (6件)

  • 論理的分析が上手で素晴らしいですね。
    Y掲示板にはただただ都合がいいくらい楽観的なポジティブシンキング野郎のpep氏が住み着いてますが、yuki氏の方が現実的ですね~。参考にさせていただきます
    Yukiさんは後出血予防材は(年内、もしくは来年)取れると思いますか?

    • 幸せさん、いつもありがとうございます!
      後出血は取れるなら年内にもとは思ってるんですが、過去の経緯もありますし個人的には確信は持てていません……。
      それと取れても急激に売上が立つかというかと疑問です。株価もそんなに反応しない気がします。
      かといって取れなければ株価は大きく下がりそうなので自分でも割の悪い試合だなあと思いながら放置しています笑
      今後ともよろしくおねがいいたします!

  • yukiyukiさん、詳しいご解説ありがとうございます。
    Y掲示板でもpepさんが紹介されていたんですが、私には理解できずにいろいろと聞いていました。
    pepさんの分析では、後出血した3人は高齢で(80代2人、70代1人?)、うち2人は血液サラサラを服用していたことから、後出血3%を好意的に評価されていました。
    私としては、後出血予防材の承認が、引き続き3DMをホールドする必要条件と考えていますので、11月中のIRをすごーく希望しています。(←必死のパッチ!)
    でも、今日も300円台になりましたねえ。
    このままだと、寒波が身に沁みる冬になってしまいます…

    • それらは後出血リスクを増やす要因としては間違いなさそうですが、金沢大学の胃のESDでの臨床結果(315症例)をまとめた論文では
      https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=14177&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
      血液サラサラの薬を飲んでるかどうかや年齢、性別で後出血の有意差は見られてないです。
      どちらも3%台。
      今回のpurastatのポーツマス論文では胃は18%の後出血……。
      うーん結局のところサンプル数も少ないし結果によってバラツキが大きくてよく分かりません……。

      だからこそのランダム比較試験だったはずですがなんでヒストリカルコントロールとの比較で再申請したのかもよく分からず……。
      ただ日本の医師は手術がうまいので、日本と欧州ではまた評価も違うというのはあるかもです。
      承認されても売れないと結局また増資なので株主にとってはキツイですね…。

      • ヒェ~
        金沢大の臨床結果からすると、Purastatは全然あきませんね。
        わざわざ後出血予防のためにPurastatを塗ったのに、金沢大3%<ポーツマス18%というのは、どういうことなんでしょう?
        ひょっとして、後出血促進材?
        サンプル数や施術条件などの影響もあるんでしょうが、う~ん。
        どうしても承認してもらわんと困るから、ヨーロッパのドクターは「下手くそ」と仮説しておくことにします。(←気休めにもならん…)

        • 医者の技術や電気メスなどの器具の性能も向上していて、何もしなくても後出血になるリスク自体が数%とするとどうしてもバラツキは出ますよねー。
          果たしてそれで比較試験を求めていたNotified Bodyが認めてくれるのかというと怖い気もします…。
          もしもダメなら大打撃だと思うので何とか承認されることを祈っています!!

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