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経営力向上計画の書き方を分かりやすく教えるぞ!【節税・低利融資】

今日は株とは全く関係のないお話。

中小企業診断士の資格は5年毎に更新が必要となります。

それもお金で解決できるものじゃなく、研修会への参加と、実際に企業を支援したという証明書が必要になります。

研修会への参加はともかくとして、実務従事は企業内診断士にとっては高い壁。

この更新ができずに資格を休止する人も多いです。

でも、せっかく苦労して取ったんだから、なんとなくもったいない気もあり。

というわけで、ワタクシもどうしようかなぁと思っていたところ、知り合いの会社の社長から「経営力向上計画」なるものを取得したいと相談を受けたので、渡りに船とばかりに申請支援をしてみたぞ。

目次

経営力向上計画とはなんでしょう?

簡単にいえば、国が中小企業にもっと儲けてほしいと始めた施策です。

 

[voice icon=”https://yukiyuki13.net/wp-content/uploads/2017/05/cropped-logo.jpg” type=”l line”]「ちゃんと経営計画を立てて、その計画達成に向けて頑張る企業を応援するぞ!」[/voice]

というもの。

 

計画を申請して、国から認定を受ければ、固定資産税を安くしてあげたり、政府系の金融機関(政策公庫とか)の融資利率を下げてあげますよ、というエサまで付けてくれています。

 

エサを付けないと、社長たち経営計画なんて立てないもんね……。

 

……し、しかし!

エサがあったところで、これまで「勘」とか「経験」に頼ってきた中小企業の社長にとっては、どうやって計画を立てたらよいのか分かんない。

そうでしょ? 社長!

そこで、国は業種別に「指針」を作成しました。

国が、経営が上手くいっている企業ってどんなことに取り組んでいるかを調べて、公表したのです。

 

キミらって、小学生みたいにすぐ「先生! どうすればいいですかー(・・?」って聞くじゃん。もうしょうがねえから、やったら良いこと教えてやるよ。

ってな感じ。

なんか、数年前までは「中小企業こそ革新性を追求しろー!」って言ってたような気がしますが、そんなにポンポコ革新性なんて生み出せるわけがないので、「とりあえずサルマネで良いからやってみな!」って施策のハードルを下げてきました。

 

この施策の妥当性はともかくとして、認定を受ければ色々メリットがあるんで、これを機会に取り組んでみても良いのでは。

意外と参考になる指針もあると思うんで。

例えば製造業だったらこんな感じ↓

【出典:経営力向上計画策定の手引き】

 

20人以下の小規模製造業者なら、上の項目から1個なんかやって、プラス出来れば設備投資をしてくれよって要件になっています。

何かしら出来そうなことありそうですよね。

1人1工程を専門でやらせていたのを、作業の幅を持たせて1人で複数工程をやらせるようにしますよとか。

なお、計画には目標値も定める必要があります。

代表的な指標が労働生産性

昨今の人手不足を反映して、国は企業の労働生産性を上げようと必死になっています。

 

特に日本人は労働生産性が低いって言われてるので、

[voice icon=”https://yukiyuki13.net/wp-content/uploads/2017/05/cropped-logo.jpg” type=”l line”]「設備投資とか従業員教育とかをして、生産性を高めますよって計画を出してくれよ! そしたら認定したげるから!」[/voice]

っていう国の想いをくみ取った計画を出せば、認定されます。

簡単でしょ?

 

繰り返しになりますが、国としては、今までみたいな場当たり的な経営じゃなくて、ちゃんと経営計画を立てて企業活動をしていってね、あと内部留保ばっかりため込んでないで設備投資してね、ってのが狙いの施策。

でも、実際のところはエサ目当てに認定を受ける企業がほとんどでしょう。

まぁエサ目当てであっても、計画を立てることには変わりないので、一つのきっかけになれば良いかと思います。

では、認定を受けたときのエサ(ご褒美)について見ていきます。

基本的には設備投資をすることが前提です。

 

代表的なところでは……

・設備投資をしたら、その設備の固定資産税が安くなるぞ!

・設備投資をしたら、法人税(所得税)の減免or設備の一括償却ができるぞ!

・設備投資をしたら、その設備購入の低利融資を受けられるぞ!

・他の補助金の申請をするときに有利になるぞ!(これは設備投資しなくてもOK)

これくらい。

固定資産税って赤字企業にも掛かってきますので、これから設備投資をしようっていう企業には幅広くメリットがあります。

ただ、どんな設備投資でも良い訳じゃなく、ご褒美が貰える設備投資には要件があります。

↓みたいな感じ。

【出典:経営力向上計画策定の手引き】

 

上記のように、金額的な要件と販売時期の要件があります。

かつ、固定資産税の減免と税額控除・即時償却を受ける場合には、その設備が旧モデルと比較して、1%以上性能が高いですよっていう証明書が必要です。

証明書は「工業会」ってところからもらわないといけないんですが、メーカーに「この機械って対象になるかなー? なるならもらってくれやー!」って言えばOK。

あとは機械メーカーと工業会で話をしてくれるので。

申請者(企業)は特になんも考える必要はありません。

*本当はB類型ってのもあるんですが、これはちとややこしいので、ご褒美目的で策定するのは個人的にはあんまりおススメめしません。

 

ちなみに上記の金額ですが、本体価格のみか、もしくは設置費用込みで良いか、という疑問が出てきます。

ワタクシ、経産省に確認をしました。

そしたら、下記の回答。

「コミコミで資産計上できるもんなら、良いよ。分かんなかったら税理士に聞いてねー」

だそう。

なるほどですね。

税務上の処理の問題で、付属費用も一括して資産にあげないといけないもんなら、込み金額でOKとのことです。

でもよく考えれば、付属費用は資産計上しなくても経費処理できるんなら、無理やりコミコミにするメリットがあるかって考えると微妙ですね。

【結論】コミコミでもできないことはないけど、ややこしいので固定資産税の減免が受けられる設備投資の金額とは「本体価格の金額」って考えとけばOKだと思います。

余談でした。

 

それでは上のご褒美を得るための申請の流れについておさらいです。

1.メーカー経由で「工業会に証明書を出してくれーって」頼む。

2.メーカー経由で証明書をもらう。

3.会社で「経営力向上計画」を作成して、国に出す。

4.国から認定書をもらう。

5.申請書と認定書を税理士に渡して、「なんかうまいことやっといて」って申告のときに渡す。

 

これだけ。

証明書はメーカーなり工業会なりが準備してくれるし、申告も税理士がやってくれるので、社長がちょっと頑張らないといけないのは「経営力向上計画」の作成だけです。

簡単簡単。

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んじゃあ、経営力向上計画書を作成してみようぜ!

計画書も簡単です。

2枚で終了。煩雑な申請書類が当たり前のお国さまの制度なのに、これは画期的だ。

↓ちゃんと記載例も出てますよー。

「経営力向上計画 製造業の記載例」

国の補助金の申請とかしたことがない社長はこれだけでも面倒くさそうに見えますが、申請書が2枚で済むってかなり楽な部類です。

書きなれた人なら2~3時間で書けちゃいます。

では、上から順番に見ていきますねー。

申請書の冒頭です。

左側に提出先が書いてあります。

経営力向上計画って業種によって提出先が異なるんです。

下を見て、自分の業種はどこの官庁に出さないといけないのか、確認をしてみましょう。

【経営力向上計画 提出先一覧】

 

例えば北海道で製造業をやってる社長は、「北海道経済産業局長」宛にしておけばOKです。

 

次、いきまーす。

上から順番に参ります。

普通に会社名とか社長の名前とか、資本金の金額とかを打ち込んでいきます。

迷うところが法人番号。

これは国税庁の法人番号公表サイトから会社名で検索すれば、誰でも確認できます。

こちらでーす⇒国税庁法人番号公表サイト

 

次に事業分野と事業分野別指針名を記入します。

事業分野に関しては、総務省の日本標準産業分類から選んでいただきます。

こちらでーす⇒日本標準産業分類

めちゃくちゃ細かいけど大丈夫です。

大まかな製造業とか、建設業とかに大きく分かれてますので、その中の中分類から自社に合う業種を選んでください。

次。

右側の指針ですが、業種ごとに↓のサイトから選んでいただけます。

事業分野別指針及び基本方針

基本的にはだいたいの業種が揃ってます。

製造業なら記載例にあるように記載します。

 

最後の期間は、何年の計画を立てるか記載します。

後から変更申請もかけられますので、特になければ3年で良いと思います。

ここまでは特に問題ないかと思います。

本番は次からです。いよいよ計画策定。

せっかく計画を作るなら、真面目に自社を見つめ直す良い機会にしましょう。

まず、①の自社の事業概要ですね。

記載例を見て頂いたら分かるように一言+会社の規模を書くだけ。

 

続きまして②の顧客、市場の動向、競合の動向です。

「動向」っていうと難しそうに見えますが、簡単に考えてOKです。

記載例にあるように、お客さんはどこで、自社の強みと弱みはどこで、あと競合はどういう特徴があるか、を簡潔に書いておけば大丈夫。

もしもたくさん書きたい!って人は、欄が大きくなっても良いので好きなだけお書きください。

 

そして③の自社の経営状況です。

こちらは決算書を比較しましょう。

売上と本業の利益である営業利益が過去2期で上がっているか、下がっているかを書きます。

そして、上がっているならその要因を、下がっているならその要因を追記します。

 

そして最後に目標を書きます。

目標って言っても自分で勝手に決めちゃだめですよー。

「3年後には売上を1円上げます」とかってワタクシみたいなふざけた奴を排除するために、下記の項目から選ばないといけません。

製造業で3年計画の場合は……

①労働生産性(=売上/従業員数or労働時間)を1%以上あげるか。

②売上高経常利益率(=経常利益/売上)を3%以上あげるか。

③付加価値額(=営業利益+人件費+減価償却費)を1%上げるか。

 

自社の状況に応じて、一つ目標を選びましょう。

「売上はそこそこあるけど、利益率が少ないなぁ」って場合は②でも良いでしょうし、「従業員は頑張っているけど、もっと従業員教育を強化して、生産性を上げたいなぁ」っていう場合は①でも良いでしょう。

なんのせ、上の3つの中から数字の目標値を選びます。

なお、目標が達成できなくてもペナルティを受けるとかはありませんので、「これなら達成できそう」じゃなくて、「本気で達成したい!」と思える目標を書いておけば良いと思います。

次に行きます。

6番目、経営力向上の内容です。

さっき書いた目標を達成するために、具体的にどんなことに取り組むか書いていきます。

冒頭に書いたように、業種別に取り組むべき指針が示されています。

なので、その中から選んで記入しましょう。

従業員20人以下の小規模製造業の場合は、「作業マニュアルを作って品質の安定化を図ります」とか、「従業員教育を積極的に行います」とか、そんな程度です。

できるところから始めましょう。

それと基本的に、製造業の場合は設備投資もしましょうね、です。

 

 

ここまでくるとラストスパート。

7は資金調達費用です。

設備投資をするなら、その金額を書きましょう。

ちなみに……

「教育費用とかはゼロでもいいんですか?」って経産省に確認したら

「マニュアル化とかOJTとかなら当然お金はかかんないので、ゼロでも問題ないっす」

だそう。

 

まぁ気持ち、30千円とか書いといてもよろしいかと。

基本的に、固定資産税の減免とかには興味がなくて、設備投資用の低利融資だけ受けたい!って人は、この7まで記載して、国に提出すれば完了です。

融資を受けたい方が気になる点として、「この金額=融資の申込金額になるのか?」というところ。

例えば申請時には設備購入費3,000千円って出しだけど、認定を受けてからやっぱりもうワンランクグレードの高い4,000千円の機械を買いたいってなった場合、変更申請を出さないといけないのでしょうか?

 

こちらも経産省に確認したら、

「国としては、買う機械がそもそも全く変わるならアレだけど、グレードの変更とかは当然あり得ることなんで、金額が変わってもOKですよ

とのこと。

念のため公庫に確認しても「グレードの変更なら、金額が変わっても問題ない」という回答でした。

ただ、この辺は金融機関の担当者によっても見解は変わる可能性があるので、申請後に金額の大幅な変更があるかもって場合は、事前に金融機関に確認しときましょう。

 

それと、まだ気になる点が。

認定前に既に買っちゃった機械でも低利融資を受けられるかという点。

「やべーもう機械買っちゃったよ」って、おっちょこちょいな社長や、「認定まで待ってられねーよ、とりあえず一刻も早く自己資金で機械を買って、事後に融資を受けたい」って社長のために、これもワタクシ聞いてみました。

 

経産省は……

「国としては問題ない。後は金融機関の判断」

という回答。

 

公庫は……

「うーん……。まぁ年をまたいでなければ、OKかなぁ」という回答。

というわけで、多分大丈夫そうです。

 

ただこちらも担当者や支店によっても見解は異なるでしょうから、ちゃんと確認をしておきましょう。

それと、これは認定を受けられたら利息が下がるというもの。

必ず融資を受けられるわけではないので注意しましょう。

 

こちらもワタクシ、公庫にバカな子のふりをして聞いてみました。

「利息が下がるのは分かったんですけど、経営力向上計画を取ってたら、すげえ赤字な会社でも融資自体が通りやすくなることとかってあるんですか?」と。

回答は……。

「基本的に認定を取っている、取っていないだけで、融資の可否が影響されることはありません

だそうな。

 

民間の金融機関に融資を断られたんで、認定を取ってお金を貸してもらおう、みたいな感じではあまり意味はなさそうです。

あ、遅くなりましたが、低利ってどのくらいの低利かと申しますと、公庫の基準金利から0.9%引かれます。

公庫の基準金利は変動がありますが、だいたい無担保無保証で1.8くらい。

なので経営力向上計画の認定を受ければ0.9%くらいで借りられます。

ただ公庫に確認しましたが、上の金利で借りるためには社長保証を付ける必要があります。

社長保証を付けないと、0.2%上乗せになるそうな。

それでも安いけどね。

ただ、商工会議所の推薦が必要なマル経融資で今の金利が1.1%くらいなので、「絶対に無担保無保証じゃなきゃ嫌だ―!」って人は小規模事業者はマル経使ったほうが楽かも。

 

次行きましょー。

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減免目的なら8の項目の記載が一番重要!

8は固定資産税の減免等を受ける場合、記載する必要があります。

設備の金額や工業会からの証明書の番号を書くだけです。

機械的に埋めるだけなので、問題ないかと思います。

はい、これで終了です。

半日で書けます。

あとは、↓のチェックシートというものを確認しながら、必要書類を送れば終了でございます。

経営力向上計画チェックシート

 

なお、申請書類は原本を郵送する前に、担当部局によってはメールで送れば中身を確認してもらえます。

何回も訂正が入って再送とか面倒くさいんで、メールでチェックしてもらえるもんなら、そうしておきましょう。

 

あとはウェイトしていれば、国から認定通知書が届きます。

楽しみに待っていましょう。

ちなみに、この経営力向上計画。

今のところ、設備投資する予定はねーよって方でも、認定を受けておいたら良いですよ。

なんでかというと、認定の変更申請書って簡単な一枚を出せば、「やっぱり設備投資するわー」ってなったときに、その設備投資に対しても固定資産税の減免を受けられるから。

というわけで、せっかくこんなおいしい制度は使わないと損ですよ。

補助金や税金の優遇制度は、一度クセになると抜けられないから、そんなものに頼るな、って意見もあります。

ただ、補助金をきっかけにして新しい事業にチャレンジをして、会社を大きく立て直す事例もたくさんあるんです。

要は使い方。

補助金や優遇措置のために無駄な事業をする必要はないですが、自社を見つめなおすきっかけになれば良いのでは。

それでは社長! 日々の経営をがんばってください! そして税金が下がった分を、従業員の賃上げに回してあげてください!

そんなところです。

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