いつもお世話になっております!
本日は「薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会」が開催され、ついにアンジェスの重症虚血肢治療薬「コラテジェン」が条件付き承認、さらにCAR-T細胞療法「テムリア」が承認を受けました。
テムリアの前処置にシンバイオのトレアキシンが使われるため、関連銘柄として両社の株はPTSで大暴騰。
もう目が痛くなったわ。ザラ場かってくらいチカチカしてんだもん。
さすがにシンバイオも売ってしまいました。30%は上げすぎでしょ……。怖いもん。
アンジェスもエンターテインメントとして残していた分も全売却。
今年は怪我をしないことを第一にしているからね。
さて、そんなシンバイオさんも4月から第2弾が待ち構えているMSワラント。
割当先はEVO FUNDさんです。
バイオ投資家にとってはお馴染みであり、恐怖の対象でもある「EVO増資」。
だけど本当に行使期間中に下げるのかってぼくもよく分かってないんだよね。
先入観は良くないぞ。
増資発表で株価ってドカンと下げるんだから、実際に行使が始まっても織込んでいて、案外耐えてる可能性もあるはず。
EVOさんもうまいことやってくれてるかもしんないよ。
というわけで、今日はEVOへの新株予約権の割当日から、行使完了までの株価がどうなるかを見てみました。
*下記はあくまでもランダムにピックアップしたものなので、今後、EVO増資を実施する会社の株価を予想するものではありません。誤りがあればご指摘いただければ幸いです。
【メドレックス】
・行使価額修正条項付き/コミット・イシュー 2016モデル 第8回新株予約権(2015年11月20日発表)
・割当日:2015年12月7日
・行使完了日:2016年4月12日
・希薄化率:23.9%
・下限行使価額:463円
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2015年12月7日 (割当日) |
707 | 707 | 667 | 685 |
2016年2月12日 (最安値日) |
370 | 393 | 341 | 341 |
2016年4月13日 (行使完了日) |
848 | 887 | 810 | 855 |
まずはぼくが愛するメドレックスさん。
2015年~16年に掛けてやったEVO増資です。
これはなかなか強烈でした。
割当日から2ヶ月で下限行使価額も突き破る下げっぷり。
ただ、その後にチザニジンテープの臨床開始IRを出してからは、株価は急反転。
最終的には当初の株価を上回って締めくくりました。
とにかくジェットコースターなのがメドレックス。
来月からは2回目のEVO増資が控えていますが、この経験を活かせるかに注目です。
【追記】2回目はこんな感じでした!
・第14回新株予約権の発行
・割当日:2019年3月5日
・行使完了日:2019年5月29日
・希薄化率:24.48%
・下限行使価額:228円
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2019年3月5日 (割当日) |
509 | 549 | 509 | 539 |
2019年5月14日 (最安値日) |
408 | 430 | 398 | 422 |
2019年5月29日 (行使完了日) |
438 | 440 | 421 | 427 |
増資発表翌日に大株主売りもありストップ安。
その後リバウンドし、割当日は500円台でスタートしました。
結構下げずに頑張ったんですよね。
一時、バイオに資金が集まったこともあり553円をタッチ。
それでも最安値は398と語呂の良い数字まで下げました。
増資終了後には600円半ばまで上がって行ったので、この増資に限れば後半に買った人が勝利の展開。
総じてEVO増資にしてはマシなほうか。
ただ増資中に大した材料を出したわけじゃないので、会社の目論見通りというよりも、単なる地合いの影響が大きそうな。
シンバイオ
・第45回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行(2018年4月9日発表)
・割当日:2018年4月25日
・行使完了日:2018年12月17日
・希薄化率:37.0%
・下限行使価額:113円
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2018年4月25日 (割当日) |
199 | 201 | 199 | 200 |
2018年8月13日 (最安値日) |
121 | 122 | 115 | 116 |
2018年12月17日 (行使完了日) |
210 | 214 | 202 | 203 |
本日の主役、シンバイオさん。
3発やる予定のEVO増資の1発目です。
希薄化率も大きかったので、増資開始から株価は低迷。
地合いの影響もうけて、一時は下限行使価額スレスレのところまで下落しました。
その後はトレアキシンの自販体制を発表などによって株価は急回復。
こちらも開始時よりも値を上げてのフィニッシュでした。
4月から始まる第2弾に再び注目です。
【追記】2回目はこんな感じになりました。
・第46回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行(2019年3月14日発表)
・割当日:2019年3月15日
・行使完了日:2019年6月17日
・希薄化率:27.8%(前、第45回発行前基準)
・下限行使価額:113円
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2019年3月15日 (割当日) |
206 | 223 | 206 | 220 |
2019年6月4日 (最安値日) |
159 | 164 | 158 | 160 |
2019年6月17日 (行使完了日) |
179 | 185 | 173 | 183 |
バイオ祭り終焉の影響もあり、やはり厳しい展開に。
最後も行使日の株価には戻せず終了です。
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リプロセル
・第三者割当による第14回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行(2018年5月25日発表)
・割当日:2018年6月11日
・行使完了日:2018年8月29日
・希薄化率:10.95%
・下限行使価額:162円
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2018年6月11日 (割当日) |
282 | 284 | 280 | 284 |
2018年8月16日 (最安値日) |
193 | 194 | 189 | 192 |
2018年8月29日 (行使完了日) |
207 | 209 | 204 | 207 |
割と最近の事例。
リプロセルさんです。
希薄化もそれほどではなかったですし、期間も短かったんですが、かなり厳しい状況になりました。
地合いも悪かったしね。
期間中の最安値は、開始時から33%減。
希薄化率を大きく上回る下げっぷりでした。
セルシード
・第三者割当により発行される第16 回新株予約権(行使価額修正条項付き)の発行(2017年3月6日発表)
・割当日:2017年3月6日
・行使完了日:2017年10月3日
・希薄化率:23.9%
・下限行使価額:283円
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2017年3月6日 (割当日) |
599 | 602 | 585 | 596 |
2018年9月20日 (最安値日) |
483 | 483 | 477 | 480 |
2017年10月3日 (行使完了日) |
517 | 522 | 505 | 509 |
先日、食道再生上皮シートが残念なことになったセルシードさん。
希薄化率24%の大きな増資です。
それでも開始からまもなくMetaTechとの提携を発表するなど、がんばって値を保ったんですよね。
一時は開始時を上回るほど順調に行使が進んでいきますが、やはり材料が出なくなるとジリ下げに。
最終的には15%ほど値を下げてのフィニッシュです。
最安値でもなんとか希薄化率ほどまでは下げなかったので、がんばったと言えるかもしれません。
【UMNファーマ】
・行使価額修正条項付き第20回新株予約権(2016年8月30日発表)
・割当日:2016年11月21日
・行使完了日:2017年3月23日(中止)
・希薄化率:15.7%
・下限行使価額:563円
・割当先:Evolution Biotech Fund
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2016年11月21日 (割当日) |
1,003 | 1,137 | 997 | 1,037 |
2017年2月1日 (最安値日) |
362 | 376 | 322 | 333 |
2017年3月23日 (予約権買取日) |
345 | 349 | 336 | 342 |
UMNさんです。
ワクチンの承認が得られず株価は暴落。
株価は下限行使価額を下回ってしまい、中止しました。
特殊事例過ぎてあんまり参考にならないかも。
インスペック
・第三者割当により発行される第8回新株予約権(行使価額修正条項付き)の発行(2017年3月10日発表)
・割当日:2017年3月27日
・行使完了日:2017年7月3日
・希薄化率:24.9%
・下限行使価額:722円
・割当先:Evolution Biotech Fund
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2017年3月27日 (割当日) |
1,274 | 1,280 | 1,201 | 1,201 |
2017年4月13日 (最安値日) |
991 | 1,032 | 973 | 1,031 |
2017年7月3日 (行使完了日) |
1,305 | 1,348 | 1,287 | 1,342 |
バイオ以外にもちょっと見ておこう。
インスペックさん。
希薄化率25%、行使完了までは3ヶ月ほど。
最安値は希薄化率とおんなじくらい。
最終的には開始時を上回って完了しました。
一度ガンと下がると、戻りも早い気がします。
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Nuts
・第三者割当により発行される第5回新株予約権(行使価額修正条項付き)の発行(2017年12月22日発表)
・割当日:2018年1月9日
・行使完了日:2018年5月8日
・希薄化率:24.1%
・下限行使価額:98円
・割当先:Evolution Biotech Fund
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2018年1月9日 (割当日) |
190 | 190 | 185 | 185 |
2018年4月17日 (最安値日) |
89 | 89 | 83 | 85 |
2018年5月8日 (行使完了日) |
111 | 111 | 105 | 107 |
Nutsさん。
希薄化率は24%。
この辺の希薄化率が多いですね。
4ヶ月くらいの増資でしたが、一時は下限を下回りました。
最後も大きく値を下げて終了です。
まとめ
増資発表である程度織り込むかと思いましたが、やっぱり実際に始まったら始まったで、総じて大きく下がる場面がある印象。
これがEVOさんのいわゆる「売り圧」なのか。
増資がなくても数ヶ月の期間で見ればそりゃ下がるときもあるわって話ですけど、開始時の株価を基準にすると、下のほうで動いていることが多いですね。
まぁワラントで調達した金額が、当初の予定金額に満たないことが多いことを考えればそりゃそうか。
もちろん、希薄化率や行使期間、資金使途、その企業の手持ち材料によって株価は全然違ってきますので、売買は自己責任でお願いします。
ただバイオベンチャーもぜひ考えて資金調達をしてほしいと思いました。
単にお金が心細くなってきたからやるんじゃなくて、ちゃんと手持ちの材料を見定めた上で最適な手法を取ってほしいと思います。
なんもないのに「マイクロニードル」をやりたいから、って言ってもみんなお金出してくんないからね。
……その辺はさすがアンジェスさんだよなあ。
今、ワラント中だけど、なぜかここんところ大量行使が出ていない。1月とか全く行使されてないんじゃない?
んで、部会前にサラリと発行可能株式総数の増加と。
すんげえ計画的に進めてらっしゃるんだもん……。
資金調達も経営のうちってことで、他の企業も多少は見習っても良いのかもよ。ちょっとだけね。あんまりやりすぎるとちょっとイメージが悪くなっちゃうから。
それでは今日はこの辺で。
【追記】
今をトキメク中村超硬さんの事例が上がってきたので載せておきます!
中村超硬
・第6回新株予約権(2018年12月27日発表)
・割当日:2019年1月15日
・行使完了日:2019年9月11日
・希薄化率:59.75%
・下限行使価額:386円
・割当先:Evolution Biotech Fund
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2019年1月15日 (割当日) |
795 | 825 | 775 | 817 |
2019年9月9日 (最安値日) |
392 | 398 | 381 | 384 |
2019年9月11日 (行使完了日) |
392 | 406 | 391 | 398 |
ほれぼれするような右肩下がり。
行使完了日直前には下限を割る局面もありました。
発行株式も多かったし、上場廃止懸念も燃え上がっていたときなので余計に厳しかったか。
そして注目の2回目。
・第7回新株予約権の発行(2019年9月27日発表)
・割当日:2019年9月30日
・行使完了日:2019年12月27日
・希薄化率:19.92%(第6回目行使前を基準)
・下限行使価額:203円
・割当先:Evolution Biotech Fund
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
2019年9月30日 (割当日) |
401 | 401 | 386 | 386 |
2019年10月17日 (最安値日) |
330 | 331 | 317 | 318 |
2019年11月1日 (行使完了日) |
1,150 | 1,328 | 1,032 | 1,080 |
割当日以降、ダダ下がりを続けて年初来安値を更新した10月17日。
引け後にゼオライトナノ粒子の材料を出して大暴騰!!
一気に行使を終わらせて終了です。
まあこれは稀有な例でしょうか。
*全ての「EVO増資」を調べたわけではないですし、行使期間中の「買い」や「売り」のどちらかを推奨するものではありません。
はじめまして、いつも良記事ありがとうございます、とても参考になります。
ところでシンバイオの値動きについてどう思われます? 私は仕手だと思うのですが・・