いつもお世話になっております!
このページでは、3Dマトリックスが国立がん研究センターと共同開発を行っている、トリプルネガティブ乳がん患者さんを対象とした核酸医薬品「TDM-812」の開発状況についてまとめておきます。
追加情報があるたびに随時更新していくぞ。
まずは3DマトリックスのTDM-812とはどんな薬なのか。
画期的な核酸医薬品「TDM-812」とは
下記の記事で詳細を記載しています。
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この製品に使われている3DマトリックスのDDS「A6K」にはぼくも大いに期待をしていまして、以下のような記事も書きました。
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そして医師主導治験の結果が待たれていたところ、色々とドタバタ劇があり……。
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ついに治験の終了が発表されました。
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当初のこの発表だけではよく分かんなかったんですね。
とりあえず忍容性レベルを継続して検証する必要があることと、四国がんセンターに承継して治験を継続するとしかわからなかった。
パッと見、忍容性レベルの検証とあるので、なんらかの副作用が出たのでは?とも言われていました。
そんなこんなで、とりあえず収益化はまだまだ先だろうなあと思っていたところ、先日の読売新聞西日本版にTDM-812の記事が掲載されました。
以下、抜粋です。
患者に投与したのは、DNAと似たRNA(リボ核酸)という物質だ。従来のがん治療薬が、がん細胞にある原因たんぱく質に作用して治療効果を発揮するのに対し、核酸医薬は、原因たんぱく質そのものをできなくする。
チームは2004年、乳がん患者の細胞で抗がん剤を効かなくしている遺伝子を発見。この遺伝子の働きを抑えるRNAの人工合成にも成功した。
治験は15年6月に開始。乳がんが再発・転移した44~57歳の女性5人の患部に人工RNAを投与した。治療効果を期待できる量の4分の1にとどめたが、それでも5人のうち4人で、がん細胞が一部死んでいるのを確認。副作用は認められなかった
出典:読売新聞西日本版
がんセンターの落合先生も「ほんの少量の投与で、がん細胞が死ぬとは思わなかった」と驚きのコメントを出しています。
そういえば、2017年6月20日、3Dマトリックスの創始者で、自己組織化ペプチドの発明者であるアメリカMITのShuguang Zhang先生が講演しています。
下記はそれを発見したときに書いた記事です。
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この時点で「5人がまだ生存している」と話しています。
ぼくが上の記事を書いた時点では治験を受けた人の人数が分からなかったので、評価しようがなかったんですが、治験開始から2年経過時点ですべての患者さんが生存していたことになります(2年というのはあくまでも最初の患者さんに投与されてからなので、その他のヒトはいつ投与されたのかは分かりません)。
それでも予後の悪いトリプルネガティブ乳がん患者さんで、さらに1/4の投与量でここまでの結果が出るとは驚きでした。
とりあえず今のところTDM-812の状況はこれくらい。
今後は四国に場所を移して治験が継続される見込み。
早く次の展開を期待したいです。
とりあえずまだまだ時間は掛かりそう。
まぁ概ね喜ばしい結果だったんですが、やはり治験の人数が5人しか集まらなかったのは気になりますね。
これだと製薬企業が手を出しづらい気がする。
3DマトリックスのDDSを使用したTDM812の結果
良かった点→1/4の投与で5人中4人の癌が一部死滅。安全性に問題なし
悪かった点→治験予定人数に大幅未達(医師主導から採算を問う製薬企業に移行できるのか?)進化するがん細胞に対抗 遺伝子操る「核酸医薬」期待 : 読売新聞
https://t.co/NuyMCBK1oM— yukiyuki (@commu_blog) 2018年10月12日
将来的には、その他の癌腫にも狙っていきたいということなので、そういった期待値を込めて買ってくれるところが出てくれば良いんですが、まずは規模を拡大したフェイズ1の結果が出てからになるでしょう。
まだまだ先のお話……。
もちろん、DDSとしてのA6K自体の導出はあるかもしれません。
なんせメドレックスが武田と提携したんだもん。
何が起こるか分からないのがこの業界だし!
……ということで米粒というよりは糠くらい期待しています。
また情報があれば追記していきます。
yukiyukiさん、いつもありがとうございます。
3DMのA6Kが、いつの日にか収益に貢献してくれることを願っています。
でもyukiyukiさんのご解説では、当分先のようですね。
A6Kは運び屋さんなので、RNAを用いた抗がん剤を開発しようとしている製薬会社から、「ちょっと運ぶの手伝ってんか」と、どんどんオファーが舞い込んでほしいです。
ところで、Y掲示板ではヨーロッパの消化器学会で賑わっていますが、yukiyukiさんにご解説願えないでしょうか?