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薬の有意性ありとは?中央値や平均値との違いを説明するぞ!

いつもお世話になっております!

お薬の治験では「統計学的有意性」があったとかなかったとか言われますよね。

これについてド素人のぼくが備忘録として書いておきます。

誤りがあればご指摘を。

 

目次

統計学的有意性ありとは?

薬の治験結果が発表されたとき、まず大注目すべきなのが主要評価項目で統計学的に有意な差があったのか、なかったのかという記載。

新薬がプラセボ(偽薬)や既存薬と比べて、「たぶん偶然じゃなくて有効性がある」という結果が出た場合、「統計学的有効性がある」と言います。

つまり治験成功です。

正確に言うと、この「たぶん偶然じゃない」というのは、偶然の可能性が小さければ、つまり「偶然じゃないってことにしとこや」って流れで判断されます。

ちょっとややこしいですね。

 

具体的な数字を出して書くと、偶然起こる可能性をp値といいます。

治験の前にp値を決めておく必要がありますが、薬の場合は5%(p値<0.05と書かれていたりします)が多いです。

言い方を変えれば、p値がちょうど0.05だった場合、

[voice icon=”https://yukiyuki13.net/wp-content/uploads/2017/05/cropped-logo.jpg” name=”(ぶた)” type=”l line”]「この薬が効かない可能性も5%はあるけど、まぁ5%くらいは無視してええやろ。はい、この薬は統計学的に効くって結果が出たってことにするで」[/voice]

ってなイメージです。

 

平均値と中央値は?

ぼくみたいな台形の面積の計算すら怪しい野郎は、「統計学的有意性」とか「中央値」とか「平均値」の違いがよく分かっていませんでした。

まあ平均は分かるけど。

 

今でもそんな細かく分かっておく必要はないと思ってるんですが、ザックリとした違いは把握しておいた方が良いです。

これも具体的な例を出します。

下記はブライトパスバイオのがんワクチンの治験について、中間解析結果を記載した西日本新聞の抜粋です。

前立腺がん患者の場合、余命の中央値が10.5ヵ月だったのに対し、ワクチン治療の結果、17.8ヵ月と約1.7倍の延命効果を確認した。他にぼうこう癌での効果もあり、患者39人にワクチンを投与したところ、投与しなかった患者41人より生存期間が約2倍に延び、2割超で転移先のがん縮小したとの結果が得られた。

出典:2016年1月8日 西日本新聞朝刊

 

これを受けてブライトパスバイオの株価は急騰。

「治験成功はほぼ確だろう」という意見も散見されました。

しかし結局、2018年5月17日、主要評価項目で有意性を示せなかったと発表しました。

なぜこのような結果が出たのでしょう。

 

そもそも「中央値」や「平均値」で良い結果が出ることと、統計学的に有意な差がある(p値<0.05)とは別の話だからです。

ぼくは頭が悪いので、ビジュアルで説明します。

 

下記は3Dマトリックスさんの歯槽骨再建材TDM-711の棒グラフとエラーバー(棒グラフの真ん中に突き刺さってるやつね)。

出典:3Dマトリックス 決算説明会資料

 

棒グラフの長さは歯槽骨の再建割合の平均値です。

平均では比較対象のDFDBAの新生骨の再建割合が25%程度なところ、TDM-711の2nd pilot studyでは50%くらい再建しています。

ちょうど先ほどのブライトパスバイオのがんワクチンを投与したぼうこう癌患者さんについても、「生存期間が2倍」になったと書いてあります。

それでもこの結果を持って「ITK-1が効果がある!」と認定はされません。

なぜなら、平均値は別の要因でたまたますんごく長生きした人が、当該お薬を投与した患者さんの中に入っていれば伸びるからです。

 

次に中央値について説明します。

上記のエラーバーの一番上が、最も効果が良かった人の歯槽骨の再建割合。

一番下が、最も効果が悪かった人の再建割合。

中央値というのは、治験人数が100人だったとしたら、ちょうど効果が真ん中の50番目の人の再建割合です。

先ほどのブライトパスバイオの前立腺がんの結果では、ITK-1を投与した患者さんは偽薬を投与した患者さんと比べて、1.7倍も余命の中央値が伸びていたと書いてあります。

 

ただ、これについても本当にITK-1の効果だと断言できません。

中央値にしてもたまたまITK-1を投与された患者さんのほうに元気な人が固まっていた可能性があります。

 

そこで先ほどのp値が出てきます。

もう一度エラーバーを再掲。

出典:3Dマトリックス 決算説明会資料

基本的には、エラーバーの長さが長ければ長いほど数字のバラツキが大きいことを意味します。

で、左側のエラーバーと右側のエラーバーで重なりが全く無ければ、左側の薬で一番効果が出た人よりも、右側の薬で一番効果が出なかった人のほうが「良い効果だった」ということが言えます。

これならさすがに「この薬は効果がある!」と断言して良さそうですね。

 

これが統計学的に有意差が認められたという状態、p値<0.05という状態です。

*あくまでもイメージです。本当はエラーバーにも種類があり、重なっているか重なっていないかだけで有意性がある・ないを判断することはできません。ただ平均値と中央値、p値は違うということを分かっていれば、バイオ株に投資をするうえで大分違います

なお、下記のホームページでより詳細が書かれています。専門家でも誤解が多いんですね。興味がある方はどうぞ。

参考:「研究者の多くはエラーバーの意味をろくに理解していない」

 

まとめ

・薬の有意性とは「たぶん偶然じゃなく」効果があると判断されること。

・平均値と中央値がどれだけ良かったとしても、統計学的に有意差が出るかどうかは別問題。

 

こんなところ。

何気にぼく含めた一般人には分かんないよなあ。

ブライトパスの新聞を見たら普通は反応しちゃうよ。

それではスーパー素人向けザックリ統計のお勉強記事でした。

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは、ご無沙汰しております。
    統計学的有意差、バイオ株を触る上でとても大切ですね。今回の主題とは少しズレますが、実は私もブラパスにやられた1人です。早いものであの日からもうすぐ半年になるのだなぁと今回の記事でふと思い出しました。最近バイオの冷え込みが酷くて、そーせいですらあんな状況ですから、早く春が来て欲しいものです。
    いつも更新楽しみにしてます。

    • すくみなさん、コメント誠にありがとうございます!
      ほんと大事ですね!
      ぼくもバイオ株をいじりはじめたばかりのときはこのへんが混同していて、中央値の差が大きければ良い薬として承認されるんだろうくらいに思っていました。
      ブライトパスは国内初のがんワクチンとしてなんとか成功してほしかったですが、治験前に増資に成功させたり、広報ブログを開始したりと、良い印象は持っています。
      まだワンチャンあると思っているので、残されたパイプランを成功させてほしいです。

      バイオは厳しいですが、倒産さえしなければ何とかなると信じて耐えています……。
      今後ともよろしくお願いいたします!

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