いつもお世話になっております!
今日は今更かよブログの日です。
ヒューマンメタボロームテクノロジーズが2018年4月期の決算説明動画を発表しました。
はい。もう一か月前の話。
だけど忘れないうちに備忘録として残しておこう。
黒字事業であるメタボ解析事業はまぁまぁ順調に売上を伸ばしています。
ただ大化けを果たすにはバイオマーカー解析事業で大きな実績をあげるしかない!
HMTの2018年からの出来事を整理
まずは3月の「うつ病関連バイオマーカー測定試薬キットの有償提供開始」のお知らせ。
HMTが、うつ病と相関があると考えている血中の「PEA」という代謝物濃度を測定するキットを、研究機関向けに有償で提供するというもの。
本来ならば良かったねって発表なんですが、ぼくはカナーリ不安になりました。
下記のような記載があったからです。
本試薬キットは酵素法を用いたものでありますが、一般的な大型検査装置(生化学自動分析装置)に搭載するためには技術的課題等、更なる改良の余地があることなどから、引き続き開発を進めてまいります。また、薬機法上の承認を早期に得るための選択肢として、イオンクロマトグラフィー蛍光検出法(IC-FLD法)を用いたPEA測定の技術開発・改良にも、合せて取り組んでまいります。
出典:ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ うつ病関連バイオマーカー測定試薬キットの有償提供開始に関するお知らせ
どっからどう見ても、実用化には時間が掛かりそうな文章なんですよね。
大型検査装置に載せるにはさらなる改良が必要としています。
さらに、「イオンクロマトグラフィー蛍光検出法(IC-FLD法)を用いたPEA測定の技術開発・改良」という文言。
これまではさ、POCT測定機器っていう、患者の傍で医療従事者がリアルタイムで簡単に行える検査機械の開発に力を入れてたんだよね。
そしたら小さなメンタルクリニックはもちろん、内科でもこの検査をしてもらえるじゃんって狙いがあったから。
[voice icon=”https://yukiyuki13.net/wp-content/uploads/2017/05/cropped-logo.jpg” type=”l line”]「そいや風邪だけじゃなくて。最近眠れないんすよね……」[/voice]
って言ったら、
[voice icon=”https://yukiyuki13.net/wp-content/uploads/2018/07/face22.gif” name=”(内科)” type=”r”]「そりゃ困ったちゃんやん。とりあえずPEAの値を見てみよや。その数値が高かったらうつ病かもしれんへんし、心療内科紹介すんで。早めの治療が大事やからな」[/voice]
お医者さんがこんな風に言う的なね。。
これが実現できれば一気に使用シーンが広がります。
初期段階での治療が重要なうつ病にとって、早期発見のきっかけにもなるPOCT機器の開発は社会的にも意義があるぞ!!
ってぼくはすんごい期待してたわけ。
それが、いきなり「POCT」は消え、「イオンクロマトグラフィーを用いたPEA測定の技術開発」と来たもんだ。
そもそもイオンマトグラフィー法ってなんやねん。
日本分析機器工業会さんのホームページによると……。
イオンクロマトグラフィーは、主としてイオン種成分を測定する液体クロマトグラフィーの一種として位置づけられる。溶離液を移動相として、イオン交換体などを固定相とした充填カラム内で試料溶液中のイオン種成分を分離し、定量する方法である。
出典:日本分析機器工業会ホームページ
な、何言ってんだコイツ……。
おバカなぼくにはサッパリ分かんないぞ。
なんのせイメージとしては、下みたいに筒状の容器の中に調べる液体を入れます。
出典:MBLホームページ
で、そこに含まれているたんぱく質とかって電荷を帯びているので、プラスのものとマイナスのものが互いに愛しあって絡み合ってる状態。
これを徐々に筒の中の塩分濃度を高めてやると、愛のパワーである電荷が弱まり、結合力が弱いたんぱく質から順番に外に取り出すことができると。
PEAが結合力が弱いのか高いのかはしんないけど、とにかくいつかの段階では取り出すことができるよね。
こんな感じらしい。間違っていたらご指摘ください。
なんのせ手軽にその場でちゃちゃってできる検査ではない。
元々、HMTとしては、このイオンクロマトグラフィー法で患者の血液からPEAを取り出して、その濃度が高いか低いかでうつ病を判定できないか研究を進めていました。
そして、PEAの濃度とうつ病には相関があると結論付けた。
ただし臨床現場で使われるには、PEAの濃度を測ることができるってだけでは不十分です。
濃度の計測はできたとしても、すんごく時間が掛かったり、コストが掛かったり、特定のところでしか検査できなければ、承認を取ったとしてもその検査法は広まらないでしょ。
なので、HMTとしては、「より早く、より簡単に、より幅広く」できる検査法が必要だと、開発に取り組んでいたという認識です。
さっき書いたPOCTってやつですね。
……が試薬キット提供開始IRには、会社が注力してきたPOCTには一切触れられていない。
何か問題が生じているということなのか。
って3月の時点で、ぼくは怖くなりました。
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うつ病診断薬の臨床性能試験は2019年春の予定!
ところが、2018年5月22日。
化学工業日報で「HMT世界初うつ病診断薬 治験開始」の記事が出ました。
中身は既に消えてしまいましたけど、HMTが「近く」うつ病診断薬の治験に入るというものでした。
ぼくの心臓がドカンと胸骨を叩きました。
信じられないスーパーポジティブサプライズ材料だと思いました。
先ほどの2ヵ月前のIR文から、治験開始までには時間が掛かると思っていたからです。
それがですよ、化学工業日報っていうなんか専門誌っぽいところが近く「治験開始」と。
聞いたことがない新聞だけど、ぼくが無知なだけでおそらく業界では知られた新聞なんだろう。
なんせ新聞さまだ。英語で言えばニュースペーパーだ。
信憑性はウルトラ高いだろう。
よく分かんないけど、天下の新聞さまだ。
軽減税率オシオシしまくって自ら軽減対象にしちゃう新聞さまだ。。
……軽減税率なんてクソ制度だよ。ポツリ。
しかーし。
驚くことにその日の株価をチェックするとちょびっとしか上がっていません。
千載一遇のチャンスだ!!
ぼくは既にHMT株はたくさん持っていましたが、さらに買い増しをしました。
その後、株価は急上昇していきます。
↓その日の夜のぼくの浮かれツイート。
ほんとなら嬉しい。試薬キット販売時のIR表現から正直難航してるのかと思ってた。正式発表を待つぞ!
HMT 世界初うつ病診断薬 治験開始 | 化学工業日報 https://t.co/DYJEUY3ME7
— yukiyuki (@commu_blog) 2018年5月22日
ウキウキだったわけ。
よっしゃ後は会社からの発表を待つだけだ、と。
なんせうつ病っていうデリケートな問題だからPMDAとの調整にも時間が掛かると思っていた。
こんなスムーズに治験に入れるってことは、承認後も国の後押しが得られるんじゃないかと、夜中の横断歩道をスキップで渡っていたわけです。
……ただ翌日ふと思う。
3月に「さらなる改良の余地がある」とか「技術開発・改良」に取り組んでいくって言いながら、ほんとにもう治験に入れちゃうのか?
なんかおかしくねーか?
ざわざわざわ。
ってことで会社に確認してみたところ……。
「近く」という表現が外れる。会社に確認したら「近く」というのは間違いで、クレームを入れて修正してもらい、正しくは来春予定とのこと。やっぱ確認大事だなあ……
HMT 世界初うつ病診断薬 治験開始 | 化学工業日報 https://t.co/DYJEUY3ME7
— yukiyuki (@commu_blog) 2018年5月23日
ズコ――――――――!!!!!!!!!!!
「近く」と「来春」って全然違うじゃねーか。
この辺は人によって時間軸の評価は分かれるでしょうが、ぼくは少なくともこのタイミングで出す話じゃ全然ないだろって思いました。
やってくれるな化学工業日報さん。
タイトルも「治験開始」って誤解を生むどころの騒ぎじゃねーぞ。
まるでどこぞのブログレベル。
なんだかなあ。
これに関しては会社側もちょっと脇が甘かったんじゃないですかね……。
このときはさすがに身体から力が抜けた。
そしてメドレックスがトンデモナイ大暴落していたこともあり、少しHMTを整理し、メドレックスを買い増しました。
HMTの評価が下がったというよりも、今後半年の間の期待値を考えてのことです。
ちなみに今んところ結局メドレックスのほうが下がってるんで、ぼくがど下手くそということは言うまでありません。
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POCT測定機器開発は延期!(下手すりゃこのまま断念も?)
そして先月あった説明会。
とその前に、バイオマーカー事業の製品概要のページは、2018年の上半期まではこんな感じだったんすよ。
出典:HMT 2018年3月期第2四半期 決算説明会動画
測定原理は酵素法でやりますよと。
患者さんから血液を採って、でっかい機械が置いてある病院とか検査センターに送ってPEA濃度を測ってもらう方法と、一般内科とかメンタルクリニックでちゃちゃっと測定できる方法(POCT)の2本立てで進めていました。
それが直近の説明会資料だと……。
出典:HMT 2018年3月期第 決算説明会動画
イオンクロマトグラフィー法が追加されているのと、酵素法はでっかい機械で測定する方法だけに変わっている……。
恐れていたことが現実に。
POCTはどこいっちゃったのー???
やっぱり3月の時点でこの方向性は決まっていたのね。
承認を早めるために、まずはイオンクロマトグラフィー法で治験に入って、承認をゲットするっていうのは良いですよ。
ただ、酵素法についてもでっかい機械を使って測定するだけで、並行して進めていたPOCT機器開発は資料そのものからも消えたっていうのはテンション下がるなあ。
事業の進捗状況のところでも2017年「POCT機器開発延期」と書いてあって、その後の計画にもPOCTについてはごっそりサクられています。
POCTについては事実上の断念と言って良いかもしれません。
少なくとも実用化まではまだまだ先になりそうです。
まちの内科で「なんや気分が優れへんのか。PEAでもはかっとくか?」って光景が見られることを期待してたんですが……。
もちろん、血液を採取して検査センターなんかに送って、後日結果をもらえば良い訳ですが、うつ病って自分じゃ自覚がない人もたくさんいる。
そういう人にとっては、やっぱりその場で採取してちゃちゃっと見てもらうほうが、検査に同意するハードルも全然低いじゃん。
それは医者にとっても同様でしょう。
これは素直に残念でした。
なお、POCTがなくなれば、当然、マーケットも小さくなると思うんですが、とりあえず2029年の大風呂敷スライドはそのままです。
出典:HMT2018年3月期第 決算説明会動画
ずっと先の話だし、これについては計画というより「願望」と理解してるけど良いけどね。
まぁHMTもまだまだ小さい会社。
まずは承認可能性が高いイオンクロマトグラフィー法から始めて、HMTのバイオマーカ探索技術を世に出すって戦略は正しい気がします(今回の場合は能動的に絞ったというよりも、POCT機器開発が思うように進まずやむにやまれぬ方向転換な気もしますが)。
メタボローム解析事業が着実に伸びているのも強み。
個人的に大いに魅力的な銘柄であることは変わりありません。
いま持っている分(ちょびっとになっちゃったけど……)は来年以降の大化けを信じてホールドしとくぞ!
……とにかくメドレックスに資金拘束されてるから動けないんだよ!
まとめ
・うつ病検査薬の治験は2019年春の予定(ただしイオンクロマトグラフィー法)
・酵素法の開発も並行して進めていくが、POCTは延期(今のところメドはない?)
・治験開始が見えてくるまでは株価も時価総額100億前後でウロウロ?←これはド下手くその個人的意見。
枚数は減りましたが、将来的にはまだまだ超魅力的だと思っているので、来春の治験開始を一つの目安として今後も買い増しタイミングを考えていきたい銘柄です。
ただなあ……怖いのは来年は消費税増税が控えてるからな。
テーパリングの話もいずれ出てくるだろうし。
2019年の株式市場については、ちょっと悲観的な面もあるので、ここは慎重に行きたいところ。
っていうかメドレックスが上がってくんないともう余力が雀の涙のなのさ。
株価を上げたい意思は感じられるし、このままなんもなしに増資失敗の可能性は今んところない気がしてるんですがどうなるか。
HMTについては株主への配慮も感じられるし、大好きな会社(ほんとだよ)。
今後も全力で応援していくぞ!!
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