いつもお世話になっております。
本当にバイオ株価は毎日下がって嫌になっちゃいますね。
まぁ年に何回かあるんであんまり気にしないようにしよ。。
ただでさえ仕事が辛いのにさ。
今日は知らないバイオ株も調べてみようかなってことで、テラについてさーっと見てみましたよ。
テラの樹状細胞ワクチンとは!
現在のがんの治療法は手術、抗がん剤、放射線となっています。
そんな中、近年第4の治療法として注目を集めてきているのが免疫療法です。
今のところ日本において、この免疫療法で先頭を走っていると言っていいのがテラさんです。
テラさんの樹状細胞ワクチンの仕組みは↓な感じ(素人ですので誤りがあればご指摘を……)。
まず、がん細胞を攻撃してくれるのはT細胞と言われるリンパ球の一種です。
ただがん細胞はメイクが上手。「あたしってっば無害で可憐な少女なのよー」って見た目をしちゃうわけです。
T細胞さんも「あんな可愛い子が悪さをするわけがない!」ってスルーします。
全く綺麗なバラにはトゲがあるだぜ!
そんなT細胞に見破り方を教えてくれるのが樹状細胞という司令官。
T細胞にあいつは「悪女だ!やっつけろ!」って命令をしてくれるんです。
うーん、有能だ。
だけどどこの世界も有能な人材ってのは不足しているもんで。それは体内でも例外ではなく。
圧倒的に司令官である樹状細胞さんの数が少ないので、がん細胞の増殖におっつかないんです。
というわけでテラさんのやっている樹状細胞ワクチンの出番だ!
患者の身体から樹状細胞の赤ちゃんみたいな細胞を取り出して、人工的にガンガン増やして、さらにちゃんと英才教育をして立派な司令官となる樹状細胞へと育成します。
あとは、この大量のエリート樹状細胞さんを体内に戻してやって、全盛期のジダンばりに司令塔としての役割を果たしてもらえば、ストライカーのT細胞も活発に働くってもんで。
これでがん細胞をやっつけようという新しい治療法です。
樹状細胞ワクチンの効果は!?
調べてみると、樹状細胞ワクチンで末期の膵臓癌に対し、なんらかの効果が得られた人は3割くらいの様子。
その根拠の一つとされているのが、下記の論文だと思います。
Clinical and immunologic evaluation of dendritic cell-based immunotherapy in combination with gemcitabine and/or S-1 in patients with advanced pancreatic carcinoma.
見てみると、49人を対象にし、2人が消失、5人が縮小、10人は進行が抑制されたという結果だったとのことです。
確かに3割の方には効いていますね。
本当は抗がん剤が効いたかどうかの判断は、腫瘍の縮小ではなく、生存期間がどれだけ伸びたが重要となりますが、まぁそれはともかくとして……。
で、先ほどの論文です。
よくよく見てみると、ゲムシタビンやS-1といった既存の抗がん剤との併用で樹状細胞ワクチンが用いられています。
うーん、素人考えですけど、これってゲムシタビンやS-1の単独投与との比較だとどうなるんですかね?
既存治療の+αで樹状細胞ワクチンを投与することで、有効性が高まるというなら全然素晴らしいことだと思いますが、なんとなくこの方法だと、樹状細胞ワクチンの有効性を示す根拠に乏しいような。。。
会社のホームページでもすでに1万を超える症例にバクセルが使用されていると実績を強調されていますが、症例数が多いからと言って「効く」かどうかは別問題。
ただこれだけの症例に使用されていて重篤な副作用などは問題視されていないようなので。安全性には問題ないようですね。
しかし重要なのは有効性の部分。
会社のHPで発表されている臨床研究の論文を見ても、併用療法だったり、サンプル数が少なすぎたりして「おーすげえ!」というような驚きはイマイチなく。
実際に受けられた方のブログを見ても、効果がなかったという意見も散見されます。
非常に理にかなった治療法で、期待もしたいんですが、もうちょっと詳細な臨床データを知りたいです。
テラの経営状況は?
テラの樹状細胞ワクチン「バクセル」の症例実績は1万件を超え、これは世界でもトップクラスということ。
ただ、ライバル企業の参入もあり、ここのところの症例数は完全に減少トレンドに入った感じです。
・売上(15年12月期) 1,033百万
・売上(16年12月期) 807百万
【追記】
競合が激しく契約医療機関もどんどん減っています。
なかなかこの状況になると回復させるのは難しいかなぁというところです。
もっともテラもその点については理解しており、現在自由診療である膵臓がんへの樹状細胞ワクチンの保険適用化を目指して、今期中にも治験計画届を出す予定にしています。
現在、150万円とか200万円とか言われる樹状細胞ワクチンが保険適用になれば、間違いなく業績は一変するでしょう。
膵臓がんで亡くなる方は年間3.5万人。
バクセルの年間症例数は1000程度ですから、大きく伸びる余地があります。
副作用も少ないですから、自由診療なら使わないけど、保険が適用されるなら有効率が3割くらいでも使ってみようって患者は多いと思う。
時価総額も300億くらいは楽にいきそうだけどな。今より3倍以上。
【追記】テラがバクセルの薬事承認取得、そして保険収載の適用を目指して、和歌山県立医科大学と提携し、医師主導治験を開始しました! すい臓がんの標準治療が利かなくなった患者さんに対して、バクセルの有効性・安全性を調べる臨床試験です。
早くて2022年の承認を目指していますが、どうなりますか。
一つ気がかりなのは今回の治験をどのような方法で行うのかということと、治験をしたらまさかの有意差が出なかったということはないのか、という点です。
もしも有意差が出ないなんて結果になったら、ワクチンそのものへの信頼が棄損されますので、現在自由診療で得ている売上も吹き飛んでしまうリスクもありますね。
でも患者さんが藁をもすがる思いで受ける治療なので、PMDAも納得するような精度の高い臨床治験を行って効果を検証してほしいと思います。
特に抗がん剤の単独使用との比較を検証してほしい。それでバクセルとの併用のほうが優位性が出れば、バクセル自体の売上だって伸びるわけですしね。
社長は誠実な印象を受けますし、コスト管理や黒字化への意識も高い方だと思っています。
今後の株価の全ては「バクセル」の保険適用が実現されるかどうか。
副作用も極めて少ない治療法ですので、ぜひ治験で有効性が実証されることを祈っています!
まとめ
・テラは国内がん免疫療法のトップランナー!
・樹状細胞ワクチンが効く人は3割程度!
・業績は「バクセル」の保険適用次第!
理論的には非常に夢のある治療法である樹状細胞ワクチンですが、実際の効果はまだ不透明な点もあるという認識です。
オプジーボもそうですがなかなか万人に効くってのは難しいようですね。
ただすい臓がんへの治療としては本当に希望の光だと思います。
そしてバクセルの保険適用についてもそうですが、オンコセラピー・サイエンスと共同開発を行っている、より効果的な治療を可能とするオーダーメイド型のワクチン「ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法」の実用化にも大いに期待したいです。
新規がん抗原の研究も進めているし、積極的にリスクの高いがん分野に取り組んでいる、まさにベンチャー企業。
バクセルで成功をして、その収益で新規ワクチン開発を推進できるような体制になれば最高ですね。
まだまだ注目度は低い会社ですが、これからも注目していきたいと思います。
がんばれ、テラさん!
*【追記】まさかの不祥事! 上場廃止の危機です!
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