こんにちは。
いつもお世話になっております。
どうもワタクシです。
腰痛がひどい。。。
この年でこんなに身体にガタが来ていたら十年後どうなっちゃんだ。
色んな所に不具合が生じることが容易に想像できちゃうわけで。
昔、夢のオーダーメイド医療の提供ってことでとても期待を集めていた会社があったんだよ。
いやまだあるけどね。
なんかずいぶん昔の話のような気がするよ。
はい、カイオムです。
カイオムバイオサイエンスはこんな会社だ!
カイオムはADLib®システムという独自の抗体作成技術を持った会社です。
抗体とはもともと人間の体に備わっている防御システムですね。
この抗体を主な成分とした医薬品を抗体医薬品といいます。
インフルエンザのワクチンなんかもこの抗体を利用してウイルスへの耐性をつけているわけです。
さて現在の主流である技術ではこの抗体作成に2か月とか3か月かかっています。
ウイルスが流行したからってすぐに作れるわけじゃないんです
だからインフルワクチンなんかもその年に流行するワクチンの型を予想して作っています。
端的に言えば予想が外れれば効き目がないってことです。
単純に天気予報なんかもそうですけど、未来って近ければ近いほど予想しやすいもの。
3か月ってかなり長いような気がします。
そこでカイオムの技術に注目が集まったのです。
カイオムのアドリブシステムはなんとわずか10日で抗体を作成しちゃうっていうすんごい技術。
エボラだとかデング熱だとか、あるいはバイオテロだとか、そういったウイルスが蔓延したときのことを考えてみてください。
これまではこうしたウイルスの抗体を作るのに3か月かかってたのが、カイオムなら10日で作っちゃうんだぞーっていうことですよ。
一気に1/9に短縮。
こいつはすげえだろってことで注目されました。
上場当初はこのアドリブシステムは未完成で、完成したら製薬会社にガンガンライセンスアウトしていって収益を上げるとしていました。
そして2014年、見事このアドリブシステムが完成したと発表したのです!!!
出典:シード・プランニング
上記のグラフにあるように、抗体医薬品市場は今後も急速に伸びていくと予想されています。
小野薬品のオプジーボが注目をされましたが、あれも抗体医薬品。
今後の市場拡大を示す好例ですね。
抗体はとても高い特異性で標的分子を認識し、結合するという性質を持っています。
この性質を利用して、がん細胞だけを攻撃する抗体を用意して、体内に投与するとどうでしょう。
正常細胞を傷つけることはないので、副作用を抑えながら高い治療効果が期待できます。
さらに抗体医薬品は、投与すると長くとどまって効果を発揮してくれるという強みも。
毎日飲んだり、点滴をしたりしなくても、週に1回とか一ヶ月に1回とか、投与間隔を少なくできるのも抗体医薬品のメリットの一つです。
世界中の製薬企業がカイオムに
「アドリブシステムを使わせてくれー!」って押し寄せるんじゃないの?
って本気で思われていたんだよ。
出典:ボナック
*上記のように従来の低分子医薬品は生産効率に優れている(安く大量生産できる)というメリットがありましたが、抗体医薬品には、個人に合わせてより効果が高く、副作用を軽減できるという強みがあります。
ちなみに低分子医薬品と、抗体医薬品の良いとこ取りをしたイメージが「次世代医薬品」と言われる核酸医薬品です。
一気に黒字化だ!と株価は急騰
会社はアドリブ完成を発表してから株価はストップ高を連発。
一気に時価総額も1000億を突破しました。
この技術は打ち出の小づち!
他社にライセンスアウトしてもよし、自社で抗体医薬品を開発してもよし。
パイプラインなんて無限に生みだせる夢の技術だー!!ってことで投資家の期待も膨らみまくり。
さあ、いつ提携IRがでるんだ!
とおもって早2年。
全く出ません。
会社はより良い条件で契約できるよう、このアドリブシステムの改良に努めているとしています。
んじゃああの完成ってなんだったんだ……。
結局自分のさじ加減的な話だったのかよ……。
って今やどんどん不信感が広がって株価も高値から1/10ほどと低迷を続けています。
逆に子会社関連の材料のほうが出てますね。
結局アドリブとは何だったのか!?
完成の発表後にカイオムは人員のリストラも行いました。
当初は2016年に黒字化を果たすとしていた計画も修正。
もうカイオムの夢はついえてしまうのか……。
カイオムは今後の技術導出に自信は持っているがどうなるか?
カイオムはアドリブシステムの高品質化に努めることで、今後技術導出による収入が飛躍的に伸びていくと自信を持っています。
今でも世界で多くの製薬企業などから問い合わせがあり、とても興味を持ってもらっていると。
ただ会社側の望む条件で契約するにはもう少しライブラリの多様化など改良の余地があり、現在全力で取り組んでいるとのこと。
実際に大手への技術導出が決まれば現在の株価はかなり安くなっていますから、急騰することは間違いないと思われます。
ただ、完成から今まで導出がないということは他社にとってそんなに魅力的な技術ではないんでは?という疑問も当然出てくるわけで。
またアドリブシステム自体の特許切れも懸念されますし、世界中で新たな抗体作成技術の開発が進んでいます。
アドリブの改良は良いですが、時間がたてばたつほどライバルの技術も進化していくわけで。
例えば富山大学でも新たな抗体作成技術が開発されたところです。
免役された個体からわずか 4~5 日で目的の抗原に特異的な多数のモノクローナル抗体を効率よく単離することができる新規抗体迅速単離システムを完成させた。
第一三共やアスビオファーマなどと研究を継続しているよう。
*追記:医学生物学研究所が富山大学と本技術の特許許諾契約を結んだと発表しました。医学生物学研究所も長く抗体研究を行ってきた企業。我々にしたらこうやって国内企業が技術競争を行うことは喜ばしいですね。カイオムにとっては脅威だけど……。
抗体作成期間が4~5日と、カイオムのアドリブの半分の短さになっています。
もちろん、期間的なものだけが技術の優劣を決めるわけではないですが、抗体医薬品市場はカイオムが言うように拡大は続けている一方、抗体作成技術の進化もすさまじいわけで。
時間がたてばたつほどカイオムにとっては厳しい展開になることが予想されます。
【追記】カイオムが方針を転換しました。予想通り、アドリブの優位性も低下し、技術導出は厳しい状況です。
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まとめ
一時は3Dなどとならんでバイオの雄として大いに期待を集めたカイオム。
その勢いに当時のそうせいホルダーなんて指をくわえて眺めていたもんです。
ああ、立場は変われば。。。
技術自体は素人目には素晴らしいと思いますし、カイオムが言うようなオーダーメイド医療が実現すれば……と心から思っています。
しかしやっぱり完成から導出まで時間がかかりすぎているのが気がかり。
このまま今年も導出できない、あるいはしてもため息が出るような少額の契約ということになればさらに売り込まれることもあるでしょう。
それでも株価はだいぶん下がってきましたので、リスクを承知で勝負に出るのも一計かもしれませんが……。
子会社のリブテックがらみの材料もあるかもですしね。。。
【追記】カイオムの藤原社長が辞任しました……。
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でもワタクシはなかなかいけないなあああああ。
3Dとカイオムが爆発してそーせいが横横だったあのころが本当に懐かしい……。
それではみなさんお体には気を付けて……。¥
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