いつもお世話になっております!
時価総額1,000億円超えバイオのそーせいさんが、主要パイプラインであるアルツハイマー薬「HTL18318」の治験中断を発表しました。
そーせいはすぐさまオンライン説明会を開き、投資家に冷静な対応を促そうとしていますが、株価へのインパクトは大きそう……。
アルツハイマー薬HTL18318の動物実験で毒性所見!
全世界で1兆円規模ともいわれるアルツハイマー治療薬市場。
そーせいが開発する「HTL18318」は、既存薬と比べて有効性・安全性に優れたお薬になる可能性が期待されていました。
それが今回、サルを対象にした長期毒性試験で毒性所見が見出されたと発表されたのです。
「HTL18318」は、これまで米国・欧州で行われたヒトを対象とした臨床試験では有害事象は発見されていません(健康な成人や軽中度のアルツハイマー病患者さんなど約310人に28日間投与)。
発表では、おサルさんにヒトに投与された容量よりも多い量を9ヵ月間投与したところ、「稀少な腫瘍」が発生したとのことです
そーせい及び導出先のアラガンでは、今回の毒性に関する事象を調査するために、6ヵ月~12ヵ月間程度臨床開発の中断を決定。
なお、調査費用はアラガンが負担します。
そーせいは
- ヒトの臨床試験での有害事象でないこと
- 「HTL18318」以外の開発パイプラインへの影響はないこと
- あくまでも多くのパイプラインの一つであること
- すぐさま資産・のれんの減損に繋がるものではないこと
- 薬の開発の世界で、このような事象が発生することはままあること
などを理由に財務や企業価値への影響も限定的であるとしています。
まぁ確かにそうですよね。
COPD薬ほぼ一本足だった昔とは、そーせいの状況は全く違います。
ピーター社長も「当局に対して事象を説明し、ヒトに対してのリスクはないと判断されれば、臨床開発が再開されることも良くある」としています。
そーせいには国内バイオを引っ張る存在として、ぜひとも開発再開に繋げてもらいたいところですが、ド素人のぼくには気になることも。
ド素人が懸念する「HTL18318」の今後
以下はド素人であるぼくが気になった点です。
間違いがあればご指摘を。
・おサルさんの毒性事象は「HTL18318」と関連性がある可能性が高い?
何頭のおサルさんに「HTL18318」を投与し、何頭のおサルさんに毒性事象が観察されたのかは明らかにされていませんが、「希少な腫瘍」ということが気になります。
よくある腫瘍なら偶発的な可能性もあったんでしょうが、「複数のおサルさん」に「稀少な腫瘍」ということなので、やはり「HTL18318」が深く関係していることは間違いなさそう。
だからこそ、そーせいとアラガンも開発を中断したんでしょうが。
そして310人ものヒトへの臨床試験をした後に、なぜ今さらおサルさんで毒性試験をしてるのという疑問も。
・投与量はそこまで多量ではなかった?
おサルさんへの実験では、ヒトに投与された容量と期間を上回るとのこと。
ただ、どれくらいの投与量だったのかは明らかにされていません。
むしろ、マルコム副社長は、「比較的」容量も多い状態で投与された、という表現していますので、実際はそこまでめちゃくちゃな量ではなかったのでは、という気がします。
仮にスーパー多量であったとしてもこんな結果が出た以上、治験を受けてくれる人がいるのか。
・長期投与による副作用なら治験再開リスクも高いのでは?
今回の悪性事象は、9ヵ月の投与期間の終わりのほうで発生したとのこと。
ちなみに他の動物では毒性実験では6ヵ月までの投与で毒性事象は観察されていません。
ヒトへの投与は28日間です。
つまり「HTL18318」の「長期」投与が副作用と関係している可能性があるということです。
お薬の投与が副作用を発現させるとして、それが現れる期間が遠ければ遠いほど、安全性の検証には時間もコストも掛かるものと想像します。
治験を再開するとしても、長期で投与してもし副作用が出たならそれまでの莫大な治験費用は泡に……。
もちろん、経営陣が繰り返しているように今回の事象はヒトへの投与で発生したものではありませんが、治験を再開するにはかなりリスクが高いのでは、と思いました。
開発を進めるにしても止めるにしても、難しい判断になりそうです。
まとめ
・治験再開のハードルは高そう。
ド素人ながら、「HTL18318」については簡単にはいかない印象を受けました。
長期投与で発現っていうのがどうしても気になります。
ただアラガンも一時金でそーせいに大きなお金を払っていますからね。
簡単には断念したくないでしょうし、どうなるか。
今後の検証が待たれます。
いずれにしても……迅速にオンライン説明会を開く姿勢はさすがそーせい!
いやあ本当にはスバらしいよ。
失敗してもペラ紙一枚の会社も多いもんね。
会社が言うように他のパイプラインも豊富ですし、基盤技術自体の評価が下がったとは思っていません。
株価があまりに下がるようなら、むしろ買いたい(ぼくが初めて買った株がそーせいなので、愛着もあります)。
日本のバイオ界にとっても、これからもそーせいには先頭を走っていってほしいです。
*あくまでもド素人の見解です。
はじめまして!
いつもブログやTwitterを楽しく拝読しております。
今回の件、M1に期待してた人もそれなりにいたでしょうし、結構キツイですね。。
もちろん現時点では中断であり、中止が決まったわけではないですが。。。
私はそーではなくラクオ保有なのですが、今回の件はバイオを触ってる以上はどの銘柄であれ、明日は我が身だとつくづく考えさせられます(>_<)
寒暖差が大きいですし、体調にはお気をつけください。
これからも更新、楽しみにしております!