カイオムが僕たちに教えてくれたこと【バイオ株投資の留意点】

3Dマトリックスと並んで下方修正をという得意技を持つカイオムさん。

第三者機関である「経営諮問委員会」を設置し、過去の経営計画や投資家への情報開示の表現などについて検証を依頼しました。

今回発表された経営諮問委員会からの報告書には、バイオ株投資をするワタクシたちが留意すべき点がたくさん書いてあります。

本来はカイオム側(会社側)が改めるべき内容ですが、バイオ企業には今後も同じようなことが起きると想像されますので、改めて整理しておくぞ!

 

『完全ヒトADLib システムの構築』に成功とはいったい何だったのか……。

カイオム大暴騰劇を演じた「完全ヒトADLib システム」の開発成功のお知らせ。

従来の主流のシステムでは3カ月から半年程度かかる抗体の作成が、1週間程度まで削減できる画期的な技術が「実用化」したというものです。

報告書では、実用化の意味は「技術レベルで“使える”抗体が取れる」ことを差していたとのことですが、これは投資家に「技術導出を果たして収益化の目途が立った」と誤解をさせる内容だったと指摘しています。

問題はこの内容が「意図的に」誤解を誘導させるものだったかどうかという点ですが、さすがにそれはないでしょう。

カイオムも、

「技術レベルで使える」という点をもって、その収益化に至る道程がスムーズに進むと過度に期待をし、不適切な表現を用いてしまった。

としています。

実際、会社側としても「技術レベルで“使える”抗体が取れる」=「収益化」に繋がると考えていたんだと思います。

ところが実際には、製薬企業は「興味」を示すのみ。

 

ライブラリの多様化や抗体取得の成功確率を高めない限りは、契約金を払ってくれませんでした。

そうこうしている内にライバル企業の「抗体作製技術」も著しく進展。

ADLibシステムという基盤技術の優位性も相対的に低くなってきている状況です。

なので、今回の大きな問題としては、会社の見込みが甘すぎたことと、リスクについて明示していなかったこと、ではないでしょうか。

 

ADLibシステムの技術導出による「チャリンチャリンシステム」の目論見は完全に外れた結果となりました。

導出に時間が掛かっている場合は疑うべし!

 

抗セマフォリン3A 抗体の導出時期の「期ズレ」について

アルツハイマー病や統合失調等の中枢性疾患の他、がん、炎症、代謝領域等に関連にしているたんぱく質と言われる抗セマフォリン3A 。

ADLibシステムを活用して作成されたこの抗体の導出について、カイオムは「期ズレ」を繰り返しています。

その数、実に3回。

報告書では、カイオムが決算の度に行ってきた「導出は翌期に繰り越される」や「期ズレ」といった表現は、「抗セマフォリン3A 抗体が翌期に導出される」と誤解を招くものだとしています。

その通りですね。

こちらについてもカイオムは「翌期での契約締結を目指している」くらいに留めておくべきだったと思います。

この件でカイオムが教えてくれたこと。

期ズレ」が許されるのは1回くらいじゃない?

3Dマトリックスさんも、止血材のヨーロッパの販売パートナーが中々決まりませんが、中々決まらないのには中々決まらないだけの理由があるというお話です。

 

カイオムが目指した「究極のオーダーメイド医療」……。

「ADLibシステムなら抗体が1週間で作れる」

カイオムが目指していた究極のオーダーメイド医療です。

これによって感染症が大流行したときの抗体や、がん患者に対して診断してからすぐにその人専用の薬をADLibシステムによって生み出せるのだ!と。

もちろん、法的な規制があるのでこんな簡単にはいきません。

 

長きにわたる臨床試験で安全性と有効性を確認した上じゃないと投与は可能にならない。

だけど藤原前社長も「アップルが音楽配信システムを変えたように、ルールを変えることができる革新的な技術だ」と言っていました。

全盛期の株価は間違いなくこんな未来の姿も織り込んでいたものだと思われます。

 

……だけど国のルールなんてそんな簡単に変わるもんじゃないよね。

少なくとも。変わることを見込んで株価の期待値に過度に含めるのは止めといたほうが無難なような。

この件でカイオムが教えてくれたこと。

国のルールはそんなに簡単に変わらない。株価が会社の「妄想」を織り込みはじめたら危険!

 

まとめ

やはり素人はどれだけ会社が革新的な技術やバラ色の未来を訴えてこようとも、他社が「お金を出して権利を買う」結果を見ないことには、過度な期待は要注意。

「結果を見た後じゃ遅いんだよ」と言われたらその通りなんですが、やっぱり時間がかかりすぎていると疑ってかかるのは大事なんじゃないですかね。

なんかカイオムの報告書を見てると、3Dマトリックスさんとシンクロするところがありすぎて辛くなってきたぞ……。

来年はマトちゃんが経営諮問委員会を設置しないことを祈っております。

 

しかしリジェネロンと自社を比較するなど、カイオムの夢だけで株価を暴騰させた腕だけはすごかった。

買収した子会社のパイプラインは今のところ順調に進んでいるようなので、あのときにうまく資金調達してADLibシステムへの依存度を下げられていればもうちょっと今の評価も違っていたかもしれませんね。

カイオムの今後の復活を期待しています!

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4 件のコメント

  • yukiyukiさん、こんばんは。
    私も2か月ぐらいカイオムを保有していたことがあります。
    すでに株価は400円台に低迷していました。
    カイオムの藤原社長と、シンバイオの吉田社長の動画を見て、ご両人ともかなり胡散臭さを感じたんですが(失礼!)、シンバイオには上市品があるのでホールドし、カイオムは損切りしました。
    両社のスタイルは全く違うのに、トップの自信にあふれた姿勢は同じような印象でした。
    やっぱりバイオも、会社が持っている技術や製品が、特許や導出、上市、売上といった具体的な事実で評価されないとアカンですね。
    とは言え、今でも吉田社長の話術はいかがわしい(失礼!)。

    • もぐらさん、いつもありがとうございます!
      僕も一時カイオムいじってましたねー。
      完全に「究極のオーダーメイド医療」にワクワクしていました!
      色々なことを学ばせてくれた銘柄だと思っていますw

      僕は自信があると言えば3DMの高村社長がまず浮かびます。
      今でもyoutubeで上場時のプレゼンが見れますが、素晴らしい話術です。笑

  • yukiyukiさん、

    こんにちは、いつも参考にさせていたいだいております。
    開示の中のもう一つ『わずか数週間でヒトに投与可能な抗体を創出可能な技術を創製した』だとか『パンデミック完全対応』だとかを年ごとに設定してた表現はどう思われますか?

    私はやっぱりかなり誇大表現だったように思いますが・・・

    • ケンケンさん、いつもありがとうございます!
      カイオムの開示ですが、かなり素人の誤解を誘導する表現だったと思います。
      特にパンデミックについては、エボラが流行したときに「抗体作製に成功」と大きく打ち出すなど、会社側もすぐに収益に繋がるものではないと認識しながらも、それに乗っかっていた節が見受けられます。
      当時は逆の意味でうまいIRだなぁとも思ったもんですが、やはり業績に繋がらないと一時的に株価が上がっても意味ないですもんね。

      全てのバイオ企業には分かりやすく、また正確な情報開示に努めてもらいたいともいます!

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